2022年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

No.
88
烏の緑羽

「分かるけど分からねェ……!」が解消されるかと思ったら、フォーカスされた先が長束さまだったので色んな事が分からないままっていう~~~~!【楽園の烏】の感想でも言及したのですが、今回も読書エンジンがかかるのが遅くて前半は休み休み読んでいました。しかし中盤になってからは何もかもが気になってきて、就寝時間を1時間半もオーバーした形で一気に読了してしまい。八咫烏シリーズ、最初のパンチが本当に弱いんだけど、前半の出来事が遅効性の毒みたいに一気に巡り始めるから凄いなあと思います。いやだってこのタイミングで路近の話聞きたい人とかいる!?!?おらんやろ!!けれど、長束さまと路近周辺を掘り下げる事によって、山内の裏の部分とかの世界観がこれでもかと感じる事が出来たので、必要な内容だったなぁと考え直しました。というか、雪哉一人に肩入れせずに済む。

【烏の緑羽】は長束さまのオムツがいかにしてとれたか、というのをメインテーマにしているようで全然そうじゃなくて、山内のいびつさを改めて叩きつけたかった+サブの登場人物について掘り下げる事で、雪哉と対立している面々への共感力を上げたかったのかなって。そもそもとしてタイトルが……だし!【追憶の烏】で雪哉の心境だけ知っている状態で、いかにして【楽園の烏】に至ったかが描かれたら、大多数の読者が雪哉の選択が正しいと思ってしまっていたと思います。前作主人公だしね。長束さまと緑寛が掘り下げられた事によって、ああいう環境で育ってきて、その上での信条があるから雪哉と対立したんだな、という納得力が上がったというか。ネット上の争いごとでもそうですが、片方の事情だけしか知らないとかフェアではありませんからね……。両者の下地をしっかりと読み込めた事で、これから先に何が起きたとしても片方に過剰に肩入れせずに済むのは助かります。とくにわたし、めちゃくちゃ感情で物を言うので!分からないものは怖いの精神なので!


「お前――このためか」
 その顔を見た瞬間、これまでどうしても分からなかったことが、ようやく分かった。
「このために、私に仕えてきたのだな」

 ―第六章 翠寛


ここからの流れ、パズルのピースがカチッとはまって脳汁がぶわーーーっっと出る感じが堪らなくて大好きです。しびれた。
緑羽視点で路近の過去を追ったものの、追えば追うほど意味が分からない存在で霧は濃くなっていくばかりで。早い話がサイコパスですよね彼……。精神疾患をバシッと決め打ちしていうの、物語上の登場人物とはいえちょっと憚られるな~~!路近自身が望んでそうなったのではなくて、生まれ持った気質だからなおのこと。
それはさておき。理由が理解出来たからといって、それを心で咀嚼出来るかどうかは別だな、と路近を見て感じました。先のように”納得力”という言葉を私はよく使いますが、彼の事は分かったけれどその心の在り方に納得は出来ないというか。霧は晴れども、そこには沼が広がっていてこれ以上は追えなかった。そんな感じです。これを側における長束さまは凄い人だよ……すごいよ……。奈月彦を全肯定するだけの人だと思っていたら、今巻で一気に深みが増したなあ。なんせ私、

雪哉の主どこ行った!?!?奈月彦だけじゃなくて浜木綿もいないし私の大好きなますほさんもいないし更には澄尾すらいないんだが……?いないんだが…?どういう事なの…なんなの…全く分かんない…作者さんがこの混乱を狙っている事だけは分かるんだけど。ますほさんとか澄尾いるとなんかちょっと安心するから長束の方出すのがまたいい塩梅だわ…。その長束様もよう分かんないとこにいるしさあ。

って【楽園の烏】の感想で言うてるから!!長束さま出てきても全然安心感ないって半ばディスってるから!!ごめんね!!しかし公式でバブちゃん判定が出た事により、この時感じた私の長束さま評は間違ってなかったんだな、って。

次巻はようやく浜木綿さん視点が来るのでしょうか。正義の反対は悪ではなく別の正義、というのを痛い程描いている第二部。登場人物の行く末というミクロ視点も気になりますが、八咫烏の未来というマクロ視点でも続きが気になっています。栄えなくてもいい、穏やかな未来がありますように。

20230510143754-motiri.jpg追憶の烏 /八咫烏シリーズ
(阿部智里)

#阿部智里 #八咫烏シリーズ

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No.
87
追憶の烏

前作までの間に何があったのか分かるけど分からねェ……!そんな感じです。加えて衝撃のラストに全部気持ちを持っていかれたので、間の出来事への印象が割とすっぱ抜けている。あのラストに驚かない人はいないでしょう……露ほども思い浮かばない再登場だったよ……!

若宮の心変わりというか、件の遺言に雪哉の思いと同じく一瞬だけ「なんで!?」と思ったのだけど、すぐ腑に落ちた、のち感傷的な気持ちになった。家族を得た事で、『金烏』から『ただの奈月彦』になったんだなあと。……いやもしかしたら山内を考えての事かもしれないけれど!今のところ私はこう考えています。だから、金烏に仕えていた雪哉が浜木綿さんと袂を分かつのは至極真っ当な事で。ただ、理解は出来るが感情が追い付かない……!分かるけど分からねェ!紫苑の宮は何を思っているんだい!憎悪の英才教育を受けたのか!?

改革には痛みを伴うもの。現実の歴史でも存分に語られていますが、その痛みは先の合戦で既に終わっていると思っていました。猿や神といった”外敵”と一致団結して戦う事によって、分裂の危機を乗り越えたと勝手に感じていた。しかしまーーーーーそんなはずはないのよねえ!!敵がいなくなったら新しく敵を作るだけ……というサイクル、日常生活でも心当たりがありすぎてしまう。奈月彦、いかんせん有能な身内に甘くて一度でも敵/無能と認定した者にめちゃんこキツイな、と思っていましたが、きっと同じ事を色んな所で色んな人が思っていたんでしょうね。だって私【烏に単は似合わない】の奈月彦めちゃくちゃ嫌いだもん。なんやねんコイツ!って感じでした。彼の少し深い所に入らないと、彼の気持ちは全然全くサッパリ分からない。そして分からない存在は、こわい。大人たちと女の憎悪が上手い事噛み合って奈月彦の暗殺が成功してしまったわけですが、その背景には割と納得の気持ちでいます。繰り返すけど最初奈月彦嫌いやってん!!その感情を思い出すだけで、四家の方々の気持ちと彼女の気持ちがちょっと分かるのよ……。しかし納得はしているけれど、だからといって死んでもいい訳ではない。奈月彦に限らず誰でもそう。そこの辺り、胸がモヤモヤします。これも『追憶の烏』における「分かるけど分からねェ……!」の要素だなあ……。

【楽園の烏】に至る雪哉の行動は全部納得しかなかったのだけど、奈月彦の気持ちだけは推察するしか出来なくて本当の所が凄く気になる。語られる日が来るのだろうか。語られたら、私の心は誰に傾くのだろうか。
それにしても雪哉、ずーーーーーーっと行動がブレない。家族が大事だから山内が大事。その山内を大事に想っている金烏である奈月彦が大事。いや、奈月彦個人の事もきっと大切に思っていたと思う。ただそれ以上に、金烏としての彼に焦がれていただけで。心の中に柱がキチッとあるキャラは、一見意外とも思える行動をしてもちゃんと理由が分かるから良いですね。

っていうかあせび~~~~~~!!

あせび!!お前!!!退場したはずでは!!すごいなあこの女!!!自分が成り上がるために何もかもを道具にする系の女!!すごい!!
あせびの凄い所は、機が熟すまでの種まきをせっせとして怠らない所です。【烏に単は似合わない】でも仕込みを存分に行っている事は描写されていました。その下地がある故に、最高のタイミングで最悪の花を咲かせられるように潜伏していたんだな……と急な再登場に納得するしかない。すごい女だよ……お前人狼ゲーム得意だろ……感情で吊り逃れ出来るタイプの狼だよ……いっそ見習いたいぜ……。
畳む


20230510143446-motiri.jpg 追憶の烏 /八咫烏シリーズ
(阿部智里)

#阿部智里 #八咫烏シリーズ

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No.
86
逆ソクラテス

最後の話ぼろくそに泣いてしまってダメ~~~~~~~。

小学生たちが理不尽を強いてくる大人や価値観に立ち向かう連作。主人公が子供なので、いささか感情移入がし辛いのと他力本願の「スカッとJA〇AN」系な展開がいくつかあり、not for me 寄りの作品になるかと思いながら読み進めていました。でも最初から所々でキチンと胸を刺してくるんですよね……大人になってからのほろ苦さとか、矯正のし難さとか。

「そうだよ、永遠。
 バスケの最後の一分が永遠なんだから、俺たちの人生の残りは、あんたのだって、余裕で、永遠だよ」

―アンスポーツマンライク


最初の丁寧な仕込みがのちに爆発するタイプの話だったな……って『アンスポーツマンライク』を読んで感じ、そこからの『逆ワシントン』のラストで涙腺ガバガバのハイドロポンプよ。幼いころの失敗は大人になっても引きずる、っていうのをちゃんと描写した上でのチャレンジしようぜ、リトライしようぜ、というメッセージにとても励まされる。あと、他人に優しくするのは自分のため、って価値観も好きです。優しさの連鎖が返ってきて欲しいわけじゃなくて、何をしてくるか分からない他人が怖い、って事から発した言葉なので猶更実感がこもっているというか。
頑張りが必ずしも報われるなんて、都合がいいお話ではあるのだけれど。紙の上でくらい、全員がハッピーでもいいんじゃないでしょうか。

20230510143211-motiri.jpg逆ソクラテス
(伊坂幸太郎 )

#伊坂幸太郎

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No.
85
アイネクライネナハトムジーク

恋愛が主題の連作。現代が舞台の恋愛って嗜まない事が多いのですが、今作は甘酸っぱい気持ちをあちこちから色んなシチュエーションで摂取出来て楽しめました。食わず嫌いはダメね。

支流が海に繋がる伊坂幸太郎節全開の最終話はお見事ではあるのですが、時系列があっちゃこっちゃいくのが少しだけ読みづらかったです。お話はすっごく綺麗に繋がっているんだけども、何年前を連発されると頭こんがらがってしまう~。
誰かの頑張りが別の誰かに時を越えて繋がる。ささやかな一手が大きな一手だったりもして。人との繋がりを信じ、大事にしたくなるお話でした。

20230510143024-motiri.jpgアイネクライネナハトムジーク
(伊坂幸太郎 )

#伊坂幸太郎

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No.
84
魔導具師ダリヤはうつむかない 5巻

水虫回好き。それに魔剣作ってる時の二人やっぱり可愛いわね……猫まっしぐら!

ヴォルフさ~~~ヴォルフ~~!!顔が完全に恋してる乙女のソレなんだけどさあ~!!いつまで押し込めるの!?なんか……こう……2巻からずっと同じ所をぐるぐる回っているからフラストレーションがちょっと溜まって来た……!ううーーー恋愛のフレーバーの出し方がちょっともどかしすぎる。ネガティブ寄りの感想文を投げてしまいそうなので次巻から言及がないかもしれない……。漫画がお上手+世界観構築が完璧(貴族社会のねちっこさよ…)というコンボも合わさって感情移入が凄いのよね。ゆえに感情的になったホットな感想を言ってしまいそうになる。
んあ~~~~なんだろうな~~二人の関係性に関してモニョるのはー!「はよくっつけ!」っていう方向のモニョじゃなくて……。まず、ダリヤの気持ちが全然分からないから不気味なのはある。” 恋とはき違えてはいけない” って再三釘を刺しているけど、そもそもとして恋愛対象に見てないよね?って。……じ、自分の感情を言語化出来ない……悔しいぞ!

20230510141343-motiri.jpg魔導具師ダリヤはうつむかない 5巻
(コミック:住川 惠 / 原作:甘岸久弥)

#魔導具師ダリヤはうつむかない #BLADE

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No.
83
女王陛下と呼ばないで 4巻

女王陛下ちょーかっこいいやん………。

女王になるという覚悟が決まってからのフラン、気持ちの揺れ方も共感出来る感じで終始穏やかな気持ちで見守る事が出来た。前巻の感想でちょっと文句っぽい事言ってましたからね私……。いきなり覚悟ガン決まってたら共感出来なかったので、必要な仕込みだと最初から分かってはいたんだけど、それはそれ、これはこれ!理解と感情が追い付くかどうかは別!

最終話、ほんとうに好き~~~~……。戴冠式のパートのフランめちゃくちゃに格好良い……。表情がね…全部いい……。そしてスチューが……!スチューがちゃんと言った!!!後ろから抱きしめてからのキスとか、シチュエーションが最高すぎる……!
誰とくっつくかどうかにはしっかりとアンサーを答えを出しつつも、そこから展開を長引かせず「女王陛下と呼ばないで」というタイトルに沿った内容で終わったのが気持ちがいい。無駄が一切ない上に、彼らとの関係はどうなったのかのモヤモヤがない。告白の先は本編には全く関係のない、フランとスチューふたりのお話。物語のボリュームが丁度よくて、頭から尻尾まで同じ温度感で楽しめる素晴らしい作品でした。シアンくんという超好みの皮肉屋メガネ忠犬を産みだして下さった事にも感謝を……(台無しな〆)

20230510141244-motiri.jpg女王陛下と呼ばないで 4巻
(コミック:轟斗 ソラ / 原作: 柏てん)

#女王陛下と呼ばないで #フロース

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No.
82
田舎のホームセンター男の自由な異世界生活 9巻

42話の建国承認式、展開もさることながらコマ割りがめっちゃくちゃに好みで頭から尻尾まで好き!!見開きの使い方がほんと~に上手い……!キャラの視線の向け方で”どこに” ”なにに”視線と気持ちを持っていくかとても丁寧に描写されている。マサルとビクティニアスさまの夜会話で改めて感じてしみじみしてしまったよね……パーフェクトすぎる……。
率直に申して、この漫画をここまで好きになれるとは思わなかった。物作りチート系漫画の分類でゆるゆる読んでいたら、恋愛具合がとてつもなく好みでお見合いおばさんになってしまっている現状です。42話はアデリナに啖呵を切るザーグくんの顔アップコマもほんま…ほんま良かった……男の子の照れは至高。末永くお幸せに~~~!!

街の発展が急速過ぎる件は王様がちゃんとツッコミ入れてくれるから助かる~~!なんかこう、第三者目線で主人公にモノ言えるキャラって良い。周りが全員太鼓持ちみたいなイエスマンだと冷めちゃうのよね……。
今回は板ガラスの精製が普通に勉強になって「ほえ~~」ってなりました。マサル……というかこの作品の好きな点の一つは、チート能力無しで普通の人にもソレが出来るようになんとかしようとするところです。チート使った技術の横流し無双も割り切ってて好きは好きなんですが、人の生活(街づくり)をメインの題材に据えるなら主人公を抜きにした時の人々の様子が想像出来る方が世界を感じられるので。チートチートチート!の場合は箱庭感が出るというかなあ。(サイト名に”箱庭”が入ってるくらい箱庭概念が好きなので優劣をつける意味で比べてないよ!)……ってこれ系の感想前の巻でも言ったな!?【宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する】も早い段階から現地の力で現代の技術を再現する方向に頑張ってて好き。【異世界のんびり農家】は逆に箱庭極まってて好き。何を作品の味とするか、ちゃんと方向性が定まってるとそれぞれに面白いよね。

この先はメイちゃんとリュリュくんの様子にも注目したいですね……。にこにこ見守る先が増えた。10巻も楽しみだ~!

20230510141140-motiri.jpg田舎のホームセンター男の自由な異世界生活 9巻
(コミック:うさぴょん / 原作:古来 歩)

#田舎のホームセンター男の自由な異世界生活 #角川・コミックエース

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No.
81
マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~ 6巻

『サウナ大使の任務』回、声出して笑った。ほんとそれなんよ。
サウナ大使の任務 その中で最も重要度の高い御勤めとは…
サウナで倒れない事である
サウナ大使がサウナで倒れたら やっぱりサウナって危険なんだと思われてしまう

サウナ大使の任務


>  死んではならない  <

20230510141037-motiri.jpgマンガ サ道〜マンガで読むサウナ道〜 6巻
(タナカカツキ)

#サ道 #モーニング

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No.
80
異世界おじさん 8巻

今まで言及していなかったんですが、8巻のスタバ回が猛烈に可愛かったのでそれだけ言いたくて……。ニコニコ見守ってるたかふみと、無邪気に「ウマ~い!」って言うおじさんが好き。

20230510140809-motiri.jpg異世界おじさん 8巻
(殆ど死んでいる)

#異世界おじさん #MFC

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No.
79
凪のお暇 10巻

地獄の温度、もう少し下げて頂いてもよろしくて~~~!?!?

まさに「加減しろ!」案件。あっちもこっちも燃えているが!?

特にゴン!!!!お前!!!

貴様!!何故!!お前!!お前~~~~!!……………落ち着いて一つ一つ解いていきましょうね………。あ、私は慎二派だったんですけど、前巻ゴンさん頑張れ派に鞍替えした結果、もうどうしたらいいのか分からなくなっている者です……。誰を応援したらいいんだよ……いや皆それぞれそれなりに幸せになって欲しい……幸せの形は人それぞれ……。

今巻は、人の心の奥底にある丸くて柔らかい大事な部分を棒でツンツン突いてくる話が多かった気がします。安易に触られると「ワーーーーッ!!」って頭の中で叫び出したくなるヤツ。それを他者に見られて、弄られるってちょっと……いや、大分きついけど、バブルの皆のわだかまらなさが本当に良かった。

「日曜の夕方アニメの家族みたいなのに憧れとるん?」
「多様化って言うならさあ そんなんにうっかり憧れちゃう奴のことも 許してくれよ」

#五十四円め 凪、露知らず⑨


ここのやり取りがとても好きです。古い価値観、新しい価値観とは一口に言うけれど、多様化っていうのは皆がそれぞれに少しずつ我慢して成り立つものだと私は思っているので 、古い価値観の方を悪/劣と一蹴される事に違和感を持っていました。なので慎二の一言にはそーだそーだ!って思いしかないし、それに対するママの「めんご」というシンプルな謝罪も凄く良かった。無理に理解したり歩み寄ったりしなくていい、相手に対する思いやりがあればそれでええんよ。

冒頭の話からこれなのに、お次は『男だから』『女だから』問題でしょーーー!?人間面倒クセェな!!凪のシンプルな「ヒト科はつらいよ」の結論もええ……。臨界点を一度突破した凪だからこそ「>生きとし生ける者は皆つらい?」「>たぶんそう」の言葉も付け焼刃じゃないんだなって思う。そして10巻頭から積み上げた”まるで主人公みたいだな”っていうムーブの嵐が市川ちゃんを襲うとは思わないじゃん~~~!?!?!さ、サイコー!!凪のお暇っていうタイトルではあるけど、凪は大分答えを得てるから主人公交代してる巻があるんだよな。今の主人公は凪ママと慎二。

凪ママこと夕さん、前巻からお暇の方法間違えてないか?って心配してたけどここまで泥沼にハマるとは思ってもみなくて、IKEA回マジで息が ヒュッ ってなった。大丈夫これ。夕さんと境遇近い読者の人直視出来る?私は年齢が凪と夕さんの間だからどっちも半歩下がった共感で済むんだけど……。シンプルで爽やかな絵柄で煮込みに煮込んだ地獄描く作者さんだよほんと……。怖い……手に入らない何かを表現する力が強すぎる……IKEAモデルルーム、確かに幸せの縮図みたいになってる。
このまま巻跨ぎしたら頭モヤモヤしたままだったんだけど、うららママことみすずさんのボディーブローがストレート過ぎてスッキリしたので本当に助かる~~!!ありがとう!!今回のMVPはみすずさんです!!嫌味とかそういうのじゃなくて真っ直ぐ「お前は私の大嫌いな人間にそっくり」っていうの凄くない……?すごすぎて呆気にとられちゃうもん。ゴリラの萌芽っていう表現もウケる。夕さんもおめめ醒めて良かったね……安心して見守れるけどゴンに呪い残してるからちょっとモニャっとはしています。……ゴンに言及するのは次の巻でするだろうから今回はスルーね!!なんとも言えない!

前巻の感想で市川ちゃんに対して「私の半径15mに存在して欲しくない女」という表現をしたんですが(同じ会社に勤めていたくない的な感じ)決して嫌いにはなりきれないんだよなあと今回改めて思いました。好きじゃないけど嫌いじゃないよ、の表現が一番しっくりくる。というのも、市川ちゃんってサークルクラッシャーだし自走式地雷だしでとんでもなく迷惑な存在だけど、本人に悪意がある訳ではなく”人に嫌な思いをさせたくない” ”仕事で成果を残したい”という善の心で動いているんですよね。まあ前者は自己保身も入ってるんだけど、そんな子を嫌いにはなれぬ……頑張り屋さんは好きなんだ……。彼女の大きな問題のひとつは、”女”という性で発生した恩恵を自覚せず「女じゃなければよかった」と管巻いている所だと私は思っています。市川ちゃん、慎二の心のさざ波を荒波に変えた女。私はキャラクターとして彼女が好きだし、今後に注目しています。……人間としては前述ね!は~~~次巻も楽しみ~!!

20230510140625-motiri.jpg凪のお暇 10巻
(コナリミサト)

#凪のお暇 #A_L_C_DX

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