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99
私のジャンルに「神」がいます 3巻

2巻の薄味を経て原点に帰ってきた感じが好き!そう、こういうなんとも言えない感情を求めていたんだよ私は……!2巻は登場人物にフォーカスを当てていない ”同人あるある” 漫画が多かったけれど、3巻は七瀬や相川さんというクセ強同人女の ”キャラそのもの” に焦点があたっている気がする。登場人物の心の機微に賛否ありそうなラインなのも良い。全部のお話がそれぞれに好きです。

『同人女、嵐の海をゆく』七瀬が大規模ジャンルのドマイナーカップリングにハマるお話。大勢の中で孤独になってしまうって辛いよなぁって思いながら読みました。個人サイトみたいにそれぞれが孤島に住んでいる静けさとは違って、横を見たら常時パーティしてる団体がいるのに自分はひとりなわけじゃん。自分が選んでそうした事とは言え、意識しないのは無理だよなぁって思うので、七瀬の感情の動きがリアルで共感出来ました。おけパの「>ここまで頑張ったならもうやめてもいいんじゃないですか?」も実際真理だと思う。趣味やねん。好きに始めて好きに止めて好きに再開したらええ。でもね~~~~~~そう簡単に手放せたら苦しまないのよね~~~~!!苦しいけどそれを手放せない事に七瀬が気づいて、頑張って、ちゃんと報われるのが良かったです。まあ現実では報われない事も多いからそれもまたひとつの『感情』に発展するんですが。

七瀬、綾城さんに心の比重を割きすぎてちょっとモヤッとする時もあるんですが『同人女、愛を告げる 後編』で「>綾城さんとお近付きになりたいとか 中島さんに勝ちたいとか―」っていう直視し辛い自分の欲望をちゃんと自覚するのがエライよね、って。正直『同人女、嵐の海をゆく』単体だけで見るとオチを好ましく見れなくて。特別な人に見染められた、ハッピー!っていうの、気持ちは痛い程分かるし自分が七瀬の立場だと同じ反応になるだろうなとも予想出来る。でも自分は ”特別な人” ではないから、自分が相手に好意を伝えた時にその他大勢の有象無象扱いになってるのかな……っていう少しの寂しさと苛立ちというかな……そういうのを感じてしまって。でも七瀬にとって綾城さんは 神 なんだもんなあ。それをここまでハッキリ見せつけられると、神に振り向いて貰えてよかったねぇ…ってなりました。自分の欲に忠実で、それでいて己を省みれる人が私は好きなので。
「好き」の感情の中で更に格付けをするのって滅茶苦茶不毛だと分かっている。だからといって、本当に横一列に並べる事が出来ているのか自分に問うた所で「無理!!!!」と即答出来る。だから七瀬にモヤる事自体がダブスタなんだよな~~~苦しいな~~自分の醜い心が表層に浮かぶの~!まあ灰汁も旨味になるから……。

自分の欲に忠実な人が好き、という事もあってか『いいねが欲しい同人女』のいいね集め、私は別にええやん?と思っている立場です。承認欲求を満たすために夢小説を書いているおじさんの実話を読んだ時、win-winのハッピーサイクル回してるやん……って思った程なので。

夢小説書いて承認欲求満たしてる

そりゃパクりのラインまでいったらダメだよ!アカンよ!でもぽぴ郎さんって数字の動きを分析&試行&改善して動きまくってるじゃん!「いいねが欲しい」という自分の欲を満たすためにバリバリ動いてる訳じゃん……。二次創作をダシにしているっていう点は確かにあるんだけど……。あと他人を利用してるのもちょっとアカンけど、大手さんを不快な気持ちにさせている訳ではないからな……。何もしないで評価を得たいってわがままを言って周りに当たり散らしているわけじゃなくて、きちっと行動している人に対して否定の気持ちは持てないなぁ私は。今作『私のジャンルに神がいます』は原作愛を拗らせての二次創作に対する賛歌だから、そのテーマに準ずるとぽぴ郎さんは完全に間違っているというのはちゃんと分かっているつもりです。なのでこの作品を否定する気はないんだけど、それと同時にぽぴ郎さんの承認欲求起点の行動も非難する気もない。承認欲求を持つ事自体は悪くない、ってもっと広まって欲しいな~!そして大人になると褒めたり褒められたりっていうのが難しくなるから、自分も他人もいっぱい褒め褒めしていきたいね。ちなみに ”駄サイクル” って呼ばれるヤツも趣味の活動なら別に問題なくない?と思っている派です。

『九条と向井』はストレートに嫉妬の話で共感の嵐でした。言うたやないか私の嫉妬は○毛タイプって!

「特定の人に嫉妬してしまう」なら自分が手塚タイプか陰毛タイプか見極めよう/カレー沢薫の創作相談

友達が褒められて嬉しいな~!っていう気持ちは当然あれど、純度100%でその気持ちを維持し続けるのって凄く難しいと思う。だってコンディションによって自分の気持ちって変わるもの。不変のものなんてないよ。だからその感情に折り合いをつけたり、はたまた遠ざけたりっていうのは生きていく上で大事な事だと思います。九条ちゃんがまりんちゃんにちゃんと「嫉妬してた」って言えるの、本当に良かったなぁ。あと「>私が作品をUPしたその画面の向こう側に人がいる」「>いいねはただの数字じゃない」っていう感覚を実際に持てるかどうかって難しいよなって。私はまだ持ててる気がしないので、九条ちゃんを見習いたいです。数字はデータで言葉は感情って思っちゃってるフシある~~~~。ぬーん!

オマケでは綾城さんからのおけパへの感情がありありと描かれていてほっこりしました。神もまた人なり。2巻を読んだ時は「次も楽しみ~!」って素直に言えなかったんですが、今回は素直に言えます。次巻も楽しみだー!むぎさんとみつばさんが特に好きなので、次巻も顔を出して欲しいな~!

20230510153035-motiri.jpg私のジャンルに神がいます 3巻
(真田 つづる)

#私のジャンルに神がいます

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