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No.
214
野良猫ごんた、家猫になる
SNSで拝見していた作品。猫漫画って探せば山ほどあるし目に付くので少し食傷気味であまり読まないジャンルだったりするんですが、ごんたは漫画力が強いのと友達の家の子に経緯と柄と体格が似ていたので楽しく追いかけていました。
コミックは買うけど別に感想を言う気はなかった。── なかったんだけどねえ!!描き下ろし漫画の内容に心が震えたのでどうしても話したくなってしまって。この〝震えた〟は様々な感情を内包している。っていうか漫画の感想というか自語りですわこの記事ハッハッハッ。
いやしかしごんた本当に目つきが悪いし可愛げがないな~!!巻末のお写真見て絵の通りだと笑ってしまった。ウリとモモのお目めまん丸が際立って可愛い、ごんたマジで殺し屋みたいな目つきしてる。でも鳴き声が独特で可愛いとのことで、ぜひ一度聞いてみたいものですね。「シャハサシャハ……」ってなんだよ……「わんわ」はギリ分かるが……。猫、たまに吠えますよね。
ごんたが家猫になった経緯はサラッと語られていたのだけど、保護するまでに多くの葛藤があった事を描き下ろし漫画で知り目頭が熱くなりました。や~~~~~この話は詳しくすると大事要素のネタバレと逆販促になってしまうので仔細は語れないのだけども……。
あのさー、ケガをしたごんたを見てカーテンを閉めてしまうところ、酷いっちゃ酷いんだけどこうなるよね正直ね……。その気持ちにちゃんと向き合って表現したっていうのがまず凄い、自分の恥部じゃん。それに漫画の表現力がすごいよ……あそこの流れマジで胸がきゅっとなるんだ。窓を叩く音、爽やかな朝、無人の段ボールハウス、ひっくり返った水皿。漫画が……漫画が上手い……ッ!
可愛がるだけの世話しかしたくなかったけど、再びまみえたごんたを見てちゃんと責任を取ろうってなるのが作者さんの善性で素敵だなと。「>良心の呵責にさいなまれ続けるのがイヤ」という言にも非常に共感します。分かる~~~超分かる~~~~結局は自分のために小さき者を助けているのだ。それはそれとして台風でぶっ飛ばされてるごんた想像したら可愛くて笑っちゃった。
実はうちにも今やんちゃな猫が庭に遊びに来ててェ…………。そう、それではちゃめちゃに共感が近かったんですよ描き下ろし漫画。多分あの黒猫はどこかの飼い猫だと思うけど。うちの猫を見るたびに網戸に突進してきて超生意気なんスよね。
で、もしこの子がごんたみたいにケガをしていたら ── と思うと、作者さんがとった行動を自分も取ると思うんです。うちの猫たちに向ける愛情を持てない、手を差し伸べられない。でも差し伸べなかった事の後悔は一生残るだろうな、と。だからもう共感120%で漫画の内容が心に染みました。……いやまあごんたの場合は段ボールハウス作るなよって話ではあるんだけどさあ!そこはね、作者さんの仰る通り無責任だったよね。
描き下ろしと巻末写真で大満足の一冊でした。ごんたに幸あれ。
野良猫ごんた、家猫になる
(オイル富)
#コミックエッセイ
No.
151
たまに取り出せる褒め
2020年に『オモコロ』で読んだ1話が大好きだったので、本になってくれてとても嬉しい~!
・【漫画】たまに取り出せる褒め | オモコロ
声も顔もハッキリとは思い出せない「誰か」が言った言葉が、心の底でキラキラと輝いている。そういった経験が私にもあります。この一連の短編は、人様の宝物をチラリと覗かせてもらった体験が出来るのが凄く凄く好きです。見せてくれてありがとうねの気持ちよ。
けど書き下ろしの2編はあまり好みではなかったかなー!というのも、エピソードを語る方々が『絵本作家』や『TVプロデューサー』といった「何者かになれた人」なんです。自分とは違い過ぎる場所に居る人の話にはあまり心が動かされなかったです。肩書で人の人生を判断すな、と我ながら思うところではあるんだけども。……ああ、つまるところ「自己投影出来ない」から響かないのか。なるほどね。
その一方、公募した体験談は全て身近な話に収まっているので「うんうん」と頷きつつ、涙腺をささやかに刺激されながら読みました。【担任のO先生】の話なんて引きこもりニートが語り手だもんな。作家さんと比べたらこっちのが全然近いよ境遇が。「当時はわりと本気で エヴァのパイロットになりたいと思っていました」
この理由が、すさまじく心に刺さりました。「いつか王子様が迎えに来る」。そんな一発逆転なんてものは物語の中でしかないのに、それを願ってしまう程に自己肯定感と自己効力感が低い状態。いつか、誰かが、何かしてくれる。そんな状態の中投げられた「>いや できるでしょ」の言葉はまさに光だっただろうな、と。
で、この言葉を切欠に人生の歯車が大きく動き出すのが『物語』ですが。これは『現実』なので。そのビターな部分も含めて、とてもとても好きな体験談でした。
【マーベラス】は一番涙腺を刺激された話です。P89の絵見るだけでちょっとウルッと来る。ささら餅、涙腺がべらぼうに弱い。良い事をして良い事で返って来る話っていうのはさぁ、良いよね……。良いんだ……。
自分のした事で幼稚園の先生たちが喜んでくれて、さらには子供たちもぴょんぴょこ跳ねるくらいに喜んでくれた。筆者・室木さんのひとりごとでも書かれていたけど、「態度で示されたまじりっけのない褒め」って、特別感が強くて素敵だなぁと思います。ぴょんぴょこと子供たちが跳ねてる中心に自分がいるって中々ないよ。「>物語の主人公になったみたいな」と評する体験者さんの感性も含めて、心がぽかぽかするお話で大好きです。それと『ぴょんぴょこ』って表現ね、好き。
【鬱陶しい職場】は話の内容もさることながら、それ以上に漫画としての構成がべらぼうに好きです。話が終わったと思ったら追加エピソードがあるなんて!!体験者・グリルチキンさんがいなくなってからの職場の空気がな~~~~~!!なんかちょっと切ないのよ!!しんみりしちゃう。いや、チキンさんは産休だからその内に帰って来るわけで、あの場から完全に消えたわけではないんだけども。ムードメーカーの彼女がいなくなって、しんと静まり返った『鬱陶しい職場』の姿よ。漫画としての演出が上手いなぁとしみじみ感じました。
帯に書いてある『「褒め」は心の栄養だ!』って言葉も良いですね。私も私の「たまに取り出せる褒め」を眺めては、これから先の人生を歩いていきたいです。いい本だった。実にいい本だった。
たまに取り出せる褒め
(室木 おすし)
#オモコロ編集部

