No.
25
死神の浮力

アホみたいに泣いた。あまりにも泣きすぎて夜中にパニック発作起きかけた。いやまあ死が題材だからキツイの分かってたんですけど、心の筋トレだと思って頑張って読んだら案の定刺さりまくってしんどかった!でも先が気になって一気に読んじゃったから成長したな……頑張ってるじゃん私の脳みそ、この調子だよ!!褒めて伸ばしていこうな!!あと前作「死神の精度」の感想はこっち

千葉ァ!!!貴様の話まだあったんかワレェ!!みたいなテンションで読み始めたんだけど、『娘を殺した相手を追う夫婦と死神の7日間』って時点でまあ……重いよね……とスッ…と居直り覚悟をして読み進めました。案の定最初から最後まで空気が重めだった。普段は人の死なないミステリーばっかり読んでるから殺人事件に弱い。でもまあその重い空気を千葉が随所随所ですっ飛ばしてくれるから楽しいんだよなあ……。KY死神千葉とのやり取りで山野辺夫妻が徐々に明るくなっていくのが目に見えて分かって良かった。それはそれとして復讐を覚悟した者としての行動がマヌケ!!!マヌケなんだけど、善性の塊っていうのがそういう抜けた部分から分かってしまうからお上手。

「お前もいつかは死ぬ」

千葉が頻繁に言い切るのマジでウッとなったんだけども、まあ真理なので毎日を大事に生きていきたいですね。人は日々を摘むしか出来ない。不安症で薬飲んでる自分にこの本はちょっと劇薬だった気もするし読み終わった今でもウッってなるけど、私はこの本に出会えてよかった。なにせ私のランキングを塗り替えたからな……。伊坂幸太郎さんが一番好きな作家になったよ。

「そう。誰かの記憶に溶けるから、減らない」

「先に行って、怖くない事を確かめて来るよ」

P490、もうマジでめっちゃくちゃに泣いて、恒例”感想書いてる今も泣いてる”状態なんですけど(涙腺がべらぼうに弱い)死ぬことへの恐怖がないと語る主人公がその理由について語ってるところが本当によくて。怖いけど、怖くない。私みたいにタナトフォビアの気が若干あるって人には刺激が強すぎる作品ではあるんだけど読んで欲しい本です。めーーーっちゃくちゃいいから……でもちょっと話が長いから前作の「死神の精度」から読んで……千葉ァ!!!!!貴様ァ!!!ってなるし楽しいしぐっとくるので…是非に……。

追記は強いネタバレがあるタイプの感想です。

寿命延長キャンペーンで本城の寿命伸ばされた時「マジで!?」って思ったのでお話の構成が上手いな~~~!!!ってなった。もうそれ見ちゃったら先気になりすぎて続きノンストップじゃんね……。本城に関連して、彼の掘り下げがなくてよう分からん、って感想を他所でまぁまぁ見かけました。でもサイコパスの掘り下げされてもなあ…という感じなので、私はこの塩梅でいいなと思っている派です。

「ぼくは、自分の名前を相手に刻み込みたい性格なんです。『誰だっけ』と問われる事のないように、決して忘れられない印象を残したい」

この一文、なんか印象深いなと思って付箋貼ってたんですけどそれがラストのラストでイイ感じに返って来るとは思わなかった……。千葉は本城の事なんか忘れていたけど、山野辺さんの事はちゃんと名前を聞いただけで思い出したんですよね。それが凄くいい。

「晩年も悪くなかった」

あの!千葉が!!千葉が!!!!あの7日間を!!悪くなかった!!と!!この〆方凄い好きだ……。私、千葉の事ディスりまくってる感じだけど、この死神仕事熱心で別に悪い奴ではないんだよな。音楽が関わるとちょっと……いや、大分変になっちゃうだけで死神の仕事を全うしている。もっと千葉の話みたいなー、短編集また出てくれないかな。

ネタバレ無しの所でも言ったけどP489~P491はもうとにかく全部だめ。全部だめ。人間という生き物が愛おしくなる。山野辺さんぶっちゃけ死ぬ事怖いんだよ滅茶苦茶。怖いの治ってなんかいないのに、

「せっかく教えてくれたんだから」

って断絶状態だった父親からの最期のプレゼントを受け取りたいな、って気持ちだけで「死ぬのは怖くない」って言ってるのが心に来る。そしてこのやり取りを見た後に見る作者の後書きがまたな~~~味わい深いんだよな~~~!!!!!いやもう伊坂幸太郎さん大好きやわ……。今回、言葉の一つ一つがなんかじんわりと沁みる物が多くて、人生でずっと忘れないだろうなという出会いに感謝している。やはり本はいい。「大丈夫だからな」と言ってくれるかもしれなかった父親は突然先に行ってしまったし、己がそれを言うべき子供もまだいないけれど、誰かの記憶に溶けて消えない人生を私も歩みたい。畳む


20230510114407-motiri.jpg死神の浮力
(伊坂幸太郎 )

#伊坂幸太郎

編集

この場所について

読んだ本の感想を話すところ。
感情でものを言う傾向があります。

ネタバレ注意!


キャラの生死、思わぬキャラの登場等はぼかしたり隠したりしていますが、基本的には配慮していません。

デザインの着せ替えが出来ます。お好みの背景色でご利用下さい。

ダークモード
デフォルトモード

最近の投稿

複合検索

  • 投稿者名:
  • 投稿年月:
  • #タグ:
  • カテゴリ:
  • 出力順序:

カテゴリ

ハッシュタグ