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十角館の殺人
孤島での連続殺人というクローズドサークルの全ての祖、『そして誰もいなくなった』のフォーマットに則られた作品である本作。去年末に地上波再放送があった事により再熱された評判を小耳に挟み、手に取りました。
〝 映像化不可と言われた── 〟
気になるじゃないですかこんなこと言われたらさ〜!現代が舞台の人死が起こる作品にめっぽう弱くなっているワタクシですが、今回は興味の方が勝りました。
そんなこんなで1日で読破した感想です。いくら昔の作品といえど、ミステリーの話題をおっ広げにする程ノンデリではないので隠します。
小説においてページめくりの概念を意識した事がなかったんですが、これ、漫画と同様にめくり演出大事ですね!?!?まずそこ!!まずこれ!!「ヴァン・ダインです」
感情のボルテージ最高潮でしたわ…………。これには驚き……これには納得……そりゃあ「映像化どうするの!?」としか言えない……。騙されました……普通に騙されました……ブラボー……。
クローズドサークルでの殺人ゲームといえば私にとって『インシテミル』が特別好きな作品で、この『十角館の殺人』に対しても「インシテミルみたいだな〜」と思いながら淡々とページをめくっていました。いや、こっちのが先なんですけども。謎の既視感とでも言うかな……だがしかしそれがあったからこそ、数々の予定調和にそんなにも荒立たなくて助かりました。何をしたって人はたくさん死んでくんだ、いちいちショックを受けてちゃいけねえ。……だがしかしそれ故に、「最後のドンデン返し」「映像化不可」の評判を聞いていなかったら脱落していた可能性もあるっちゃあるのだけど!それくらい平熱でした。
でも途中からは、ミス研の誰が最後に立ってるかが気になってしょうがなくて!半分過ぎたあたりから休憩を忘れて読んでしまったぜ……。お気に入りのエラリイが最後まで見れて良かったです。余裕のある伊達男、すき。
殺人の動機も、皆が論じていた父親の復讐説が正解ならあんまりにも薄っぺらではと思っていたんですが、蜜月状態の恋人を失ったのなら暴走するのもさもありなんよ。一気に腑に落ちて気持ち良かったパートのひとつです。
でも、ヴァンによる『犯人達の事件簿』状態はちょっと笑っちゃった。やることが……やることが多い……!よくもまあやり切ったな……すごいよお前の復讐心はホンモノだよ。
冒頭のボトルメールも最後の最後に良い仕事してくれますね。神だけではなく人間・島田もおそらくは見透かしていたわけで、超常現象に委ねる事なく裁きは行われたんでしょうが、他人からの告発で終わらない最後だった故に後味が良かったです。や〜〜〜これ島田さんにつらつら語らせるパートあったら読後感ぜんぜん違っただろうな〜!終わり方すごい好きですホント。
不屈の名作っていうのはやっぱり面白いんだなあ。良いクローズドサークルでした!
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十角館の殺人
(綾辻行人)
#綾辻行人 #講談社文庫 #館シリーズ

