No.
206
キッチン

恋愛が主題になっている小説を買って読むという事がほぼありません。なぜならば同人小説で満たされているから……。私が恋愛ジャンルで重きを置くのはキャラクターであるがゆえに、知らない人たちの恋愛いざこざを小説から摂取したい欲がないのです。昔はビーズログ文庫をつまみ食いしてはいましたが!それでも読むのはファンタジージャンルだったから、現代を舞台にした恋愛小説に手を出したのは人生で初なのではないだろうか。
なんで親しみのないジャンルに手を出したかというと、『日本語表現インフォ』で言葉漁りをした時にピンとくる文章が吉本ばなな先生である率が非常に高くてですね。ゆえに「物語を楽しむ」というよりは「文体を楽しむ」ために本を開きました。

率直に言ってしまうところ「傷の舐め合い」で物語が幕を引くのか、と二人の生末をどこか遠いところから眺めていたんですが、主人公が思ってもいなかった行動を取るところでグッとストーリーが心の距離を縮めてきてビックリしました。アレはなあ、すると思ってなかった!遠距離カツ丼デリバリー。相手にあったかくて美味しいもの食べて欲しいな、って気持ちはさあ、純粋すぎる愛だと思うんだよね……。
だから「傷の舐め合い」なんて言葉はふさわしくなくて、お互いがお互いで暖を取るような温かい形で未来に繋がって良かったなーと心から思えました。前半はホント文体を観察するが主目的だったけど、起承転結の転になってからはハラハラドキドキ読み進めていたもの。
あとこの作品、空気と温度がすごく伝わってくるから好きです。寂しいは寒いし楽しいは温かい。恋愛主題小説への苦手意識はまだ残っていますが、吉本ばなな先生の作品は好きだなと思えたので別の作品にも手を伸ばそうと思います。

そして、実は表題作じゃない方、『ムーンライト・シャドウ』がめっぽう好きだったりするんだなあ!吉本ばなな先生ってアレなの?人間のやさしさに触れる話を書くのがお得意なカンジ?まだ二作品しか読んでないから断言出来ないが!
中でもこの一文がすごく好きで。

手を振ってくれて、ありがとう。何度も、何度も手を振ってくれたこと、ありがとう。

心に残したくなる文に出会えたらもうそれだけで人生の宝だから。ジェットコースターのような感情の波はなかったけれど、じわじわと染みるような熱が持てるお話でした。よかったなー……。いやほんと、「面白かった!」「良かった~!」っていう勢いじゃない、もっと静かにストンと心にふんわり落ちる感じ。滋養たっぷりってこういうことだな~。


20260119205444-motiri.jpgキッチン
(吉本ばなな)

#吉本ばなな #角川文庫

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