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凪のお暇 12巻
泥沼にならずスマートに終わったの意外なんだが!?四角関係でもうひと盛り上がりあるかと思っていました。でもまあ恋愛がメインではないもんな。呪縛からの解放、そこが各々しっかりと書かれていて良かったです。
「好きならしゃーない♥」のマインドに陥りかける凪の葛藤、渋い顔をしながら頷いてしまうぜ……!彼女の恋愛脳なところ好きなんだよなぁ。好意はさながらに甘露、たやすくは抗えない。
そして凪以上に恋愛脳な女、夕。人中の伸び方おもろい。ここの話、凪・夕・慎二+過去時間軸で進行して鬼場転するのに読みやすくてすごいなあと思いました。見開きの中に三つの時間軸があったりするんだもん、なかなかやれないぜ。
夕さんね~~~~もうほんとずっーーーっと心配してきたんだけど、いい感じに着地して心から安心しました。途中めっちゃハラハラした!!フィルターかかりすぎなんだもん!二十数年経って外見が変わってない男はいねーのよ!!!そのフィルターが解けた瞬間の顔がなあ……ほんとうに……ほんとうに分かりやすくて……。でもそれを見てもなお「>でももうチャラにしよう」って言えた夕さんは強い人だな。そこからさらに魔法は解けるんだけども。「でも どの世界線の私にも 必ず隣に 凪がいた」
読者からの嫌悪感ポイントこれでチャラでしょ……。夢想に夢想を重ねても絶対に我が子がとなりにいる。贈る愛情の形がひん曲がってはいたけれど、まぎれもなく愛していたんだな、と。『夕のお暇』は完結、呪いを昇華する流れがお見事で良かったです。
それと、夕さんとみすずさんのシガーキッスが今巻イチ好きな場面だったりする。なんだろ、いい意味で「── ウッ……!」ってなった。それこそ誤爆して照れまくった凪を見た慎二のように。心臓ゴリュッってした、このシガーキッス。憧れ~!
ゴンさんの出した結論が最初は意外だったりしました。私とは価値観や生き方が全く違うから理解が遠くて〝意外〟って感想がいちばんに出てきてしまった。でも、底抜けに明るく楽天的な人でも比較対象が出来る事で闇堕ちしちゃうんですね……。それに気づいてからは共感値が高かったです。
凪を見た事で慎二を見て、慎二というフィルターを通して鏡に映った自分を見る。これは苦しいよー。「>凪ちゃんのこと好きな俺ことがキライだ!」この一言、シンプル悲しい。そうなりたくなんかないじゃん。大好きだなーって思ってる人の事を考えると幸せハッピ~脳内物質だけ出てて欲しいじゃん。でもゴンさんはそうじゃなくて、どんどん自分が嫌いになっちゃうと。辛いし悲しいよなあ……。なった事はないから伝家の宝刀「分かる」が言えないんだけど……。答え出せて良かったね……。「大好き」「はい」
「バイバイ」「はい」
ここ今巻で2番目に好きな場面です。静かで悲しいけど優しい。ゴンさんおつかれさま。
円!!!!!!
市川ちゃん改め円!!!!!!!!
ようやった!!!!お前はいい女だ!!!!
ここで「良い人」ではなく「良い女」って言っちゃう自分にナンダカナァ感もあるのだけど、素直に言います。
さて、彼女に対して「>嫌いじゃないけど好きでもないよ」「>同じ会社にいて欲しくない」とまで発言したわけですが。性差云々に関する自己矛盾に気付いて一歩踏み出した勇気ある人間に対して称賛以外の何をおくろうか。ブラボー……カンペキだった……。まずもって冒頭のお邪魔虫へのお誘いに綺麗な目で「>絶対嫌です」って言ってるところから良かったもんな……。
慎二との友情が続いてるエピソードも諸手を振って歓迎できる。モラハラクソ野郎の目を醒まさせたのは間違いなく市川円の存在だもの。いいよねー、慎二の「>お前の存在にマジでビビッた」っていう本音。男と女じゃなくて人間と人間になったふたり。この着地も大好きでした。
凪は随分と前から答えを得ていたので特に言及するところはないっちゃないな!慎二と過ごした鰯の夜もアッサリ目だったし。慎二側が引きずってて凪が凪いでるがこれまた面白い。この女、恋愛脳だけど恋愛に依存し過ぎてないから好きなんだ。アイデンティティを他者に委ねるのはやめたもんな。
結局どちらともくっつく事もなく終わったわけですが、不思議と不満はありません。タイトルに偽りなしで終わったから。恋愛はスパイス、本題は生き方と価値観。それぞれに得た答えに満足しています。「私は私でいいもん」
お暇の総決算。ここで「本当は〝が〟って言いたいけど今はまだ〝で〟」って言っているのも好き。そんな綺麗に割り切れたら人生ストレスフリーよ。分かったフリをして生きていくのだ。いつかそれがホンモノになることを信じて。
自分、漫画で説教されるのあんまり好きじゃなくて。エンタメしてたいの。その先で勝手に気付きを得るからおしつけがましいのはノーセンキューなのね?その点で言うとこの漫画は、自己啓発と啓蒙の方に片足を突っ込んでいて少しでも踏み外したら合わない作品に化けていたと思う。
でも作中の人たちが絶妙に性格が悪くて。肉がある。感情がある。そんな彼女、彼らが苦しみながらも周りとぶつかって、支え合って、さいごには自分自身で壁をぶち破るのが気持ち良かったです。これから先も読み返したいと思える作品になりました。ありがとう大島凪。人生がんばって生きていこう!
凪のお暇 12巻
(コナリミサト)
#凪のお暇 #A_L_C_DX

