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160
信長のシェフ 37巻

堂々完結!人生の中で一番長く楽しんだ作品になりました。いかんせん私は飽き性で、20巻前後で完結の気配がないと「もういいかな……」と物語から降りてしまう事が多く。そんな自分が37巻まで付き合えた事がもはや奇跡。そして誇張表現ではなく、『生きるための光』となった作品でした。
己の持病が絶不調だった時、こんな事ならもう目を覚ましたくないと絶望的な気持ちになる事がありました。そんな中ふいに「……でもそうしたら、信シェフの最終回読めないんだよな…」とふわっと思って。生きる希望を見いだすために掲げた理由じゃなくて、なんか自然と降りて来たんですよね。そう、降りて来たって表現が一番適切。こう思ってからおおよそ7年。新刊が出るたびに嬉しくて楽しくて、生きていて良かったです。
いやーしかしなんでこの作品だったんだろうな降って来たの!他にも好きな作品あったと思うのに!不思議なもんだな。閃きとかお告げってそういう感じなんだろう。

自分語り終わり!内容を話すぞ!
ちょいちょい「反復(の演出)(言葉)が好き」という事を語っていますが、怒涛の勢いでそれをやられるとは思ってもいなかったのよ!!1巻で出した料理をさあ~~~~!違う意味をもってして再び出すとか!!!好き!!!たまらん!!!

「鮭は川に帰ったあとはどうなる」「死にます」

作中では10年も前の出来事ぞ。なんならリアルタイムは10年以上前……?2011年8月9日が1巻発売。なるほど13年前。私たち読者の勝ちですね(?)。楓さんと井上さんが繋いだバトンがこの鮭で、それがちゃんと信長に届いたのであれば意図が通じるのも明白。無茶苦茶でもご都合でもない、いい料理だったと思います。何よりリバイバル演出が最高すぎる。

弥助の使い方にも納得~!背丈がケンと一緒って何度も言われてたもんね!そりゃあ見間違えるってもんよ。37巻、今まで蒔いて来た芽が出た結果っていうのが細かく示されてるのが好きです。悪い意味だと信忠の油断もケンの種まきで花が開いた結果だし。幼いころから恋焦がれていた姫にようやく会えるってなったら気も緩む……。そりゃそうなる……。家康が言う通り、大きな挫折を経て漢になっていく様が描写されていて良かったです。史実では出会う事のなかった二人が無事に会えた事にも目頭が熱くなりました。松姫に子が産まれている描写がある事で、武田の血が繋がったのも何だか感慨深いです。浅井三姉妹も元気そうだし、ちゃんと随所にいなくなった人たちの跡が残っているのが嬉しいね。

前巻の感想で呟いてた「>本能寺の台所に誰かいたっぽくて気になる」が『誰か』レベルじゃなくて大勢いたのウケるな。なるほどね……。この件に合わせ、弥助が何をするかとか、井上さんが何をしたのかとか、前巻で私が気になっていた事に全部解答をしてくれるので喉に魚の骨が刺さらなくて助かる。バタフライエフェクトの件も一応の回答は出したわけだし。しかもそれを望月さんに言わせるもんだからさぁ、そういう感じでいいのかなって思っちゃうよね。意味なんてなくていいし未来との統合性もとらなくてもいいのよ。………………いやマジで望月さんが言うから染みる言葉になってる気がするなコレ……。歴史を知らないぽややん(まろやか悪口)から化けたな望月さん……。

光秀のさぁ~~~~~表情がさ~~~~~ほんに………。ほんと……。謀反が失敗して、信長が生きてるのを知って、そうなってからようやく昔の表情に戻るのがマジで……やめてほしくて……私が泣いちゃうから……。
光秀の心境を知っているからこそ「生きてて欲しい」って少し思ってしまうんだけど、それは許されない事であるっていうのを分かっているケンの態度が絶妙で。完全に私とシンクロしていた。ここで「逃げて」を言ってしまったらダメなんだよ。
そしてこのタイミングで出す鍋料理な……。物語上最後の料理が『人に寄り添った料理』であった事が本当に嬉しかった。良かった。31巻の感想でもふんわりと語ったんだけど、手段としての料理ってある意味で暴力なのよ。力の誇示というか。それを結とするのではなく、ケン自身が料理でやりたい事を物語最後の品とする事に感無量だった。

「これからも 頼むぞ」

リバイバル演出多すぎるんですよね今回……。あかん。また泣いとる。読み返す度に泣く気か?心のデトックス用の本として丁度いいじゃんね……。

光秀は間違いなく死んだんですが、それでも直接的に描写しなかった事に「解釈一致!!!!!!」と漫画オタクの私が叫び出しそうになりました。演出として最高じゃない!?まず第一に、埋まってないピースを読者側が想像で埋めなきゃいけなくなるから『余韻』がメッチャ残る。そして第二に、光秀=天海説の余白を残している。信憑性のないトンデモ論ではあるのだけど、ロマンあるじゃないですかこの説。漫画内における演出としても、漫画外における情報の余白作りとしても、その両方を取れる良い演出だと私は思いました。「良い」を越えて解釈一致ってなったんだよな見た瞬間。その次にはメソッとしてるんですけど。冷静と情熱の間で。


最後までケンに翻弄されてる秀吉かわいいね……。エピローグでアルファベット覚えようとしててエライね。この世界線の秀吉はヤバイ事にならなさそうなので、このまま幸せになって欲しいです。史実における晩年の秀吉はヤバヤバのヤバなので……。私は信長のシェフの秀吉が好きだよ。信長のシェフの家康も好きだよ。天下の餅には触れられなくても、みんな笑ってて欲しい。
草むらから現れる夏さんが可愛すぎてほっこりしちゃった。そう、ケンへの特効になるのは夏さんしかいない。そして無事に産まれた二人の子、名づけがもう最高なんだわ~!!!!!!!ケンはさ、『ケン』として生きる事を決めて『健一郎』は置き去りにする事を決めたわけじゃん。でも、子供の名前は『信一郎』。………………解説不要……………………。父親の愛情と、戦国で愛した全ての人達が乗った最強の名前だよ……。たまらん……。あとお爺ちゃんムーブしてる井上さんが可愛すぎてのでそれも最高。「>じじじゃよ~♥」じじではないが~!?欲を言えば蘭丸のエピローグも見たかったなあ!!いいお兄ちゃんムーブをしている事だろう。

ツンデレ暴力系ヒロイン信長さま。この漫画を読んでいると、今の世で女信長が溢れる理由も少し分かってしまうというか!「豪快なところがあるのに繊細なところもある」というケンの評にクスっと来てしまった。それに「兄上は寂しがりや」ですからね……。不思議な魅力が溢れる、よきヒロインだったと思います。……ヒロイン、ヒロインだよ!!!


この感想を書き終えたら、この漫画から手が離れてしまう気がしてなんだか寂しいな。何度でも読み直せばいいだけども。大好きでたまらない作品に出会えた事、結末を見る事が出来た事に感謝を。【信長のシェフ】の全てを愛してるぞ!!


20240611105223-motiri.jpg信長のシェフ 37巻
(梶川卓郎)

#信長のシェフ #芳文社

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