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トリリオンゲーム 11巻
創作物において「全部欲しい」マインドで全てを掴もうとする強欲な女が好きなんですが、トリリオンゲームって桐姫がモロにそれでドツボなのも合わせてハルとガクもひたむきに全てを手に入れようとしてるからメイン登場人物の三人すべてが私のヘキで構成されている凄い漫画だったんだなあ、と最後のエピソードを読んでしみじみしました。ひと息で喋っちゃった。
前に言った通り、手放しで喜べる娯楽として純粋に楽しんでいたので感想を書いていなかったんですが、最終巻くらいはね「面白かったー!」を残しておきたくなって。
やー……本当にずっと面白かった……!1巻1巻の密度がすさまじくて、満足度が高いままに走り抜け終わっていった。まさに〝娯楽〟として特化した現代向けの漫画と言えよう。だって、無理矢理やご都合な所が山程ある。それこそこの作品全編がハッタリで出来ている。だけれども、それを些細な事だと感じられるほどに演出が上手く、読者を全力で楽しませようともてなす構成が素晴らしい作品でした。無茶やってるのは最初の人力AIからそうだもん。無理ぞ。でも何故だか気持ちが冷めないんですよね~~~~……。無茶を通されてしまう魔力がこの漫画にはある。
流石の最終巻、頭の部分からフルスロットルである。巻冒頭恒例となった学パートは『約束された未来』の先出しビジョンだと思っていたのだけど、そうではなかった、と。ここ本ッ当にビックリした!マジか!ってなった!だってこれを頼りに読み進めてたんよ!だけどこの未来が夢だったと提示された事により、これから先11巻で起こる内容の全てが確約出来なくなったわけで!勝利が約束されているわけではない、これってすごくドキドキしますね。でもあとちょっとだから……あとちょっとだからこの不確かさに耐えきれる……ッ!漫画の構成がお上手だよホント~!
桐姫は一見して不気味で信用出来ないところもあったんだけど、このセリフでわたくし陥落でございます。ガク貴方とても素敵よ。本当に好きになっていた世界線もあったかもね。
ハルが、いなかったのなら。
乙女やーーーーーん!!
いやもうずっと桐姫のこと好きでとっくに落ちてはいたんだけどもさ、これはトドメのトドメでしたね……。いいなあこういうオンナ。桐姫にとってハルが好きっていうのは心にある大事なもののひとつなんだけど、大きなモノを手に入れるためだったらその気持ちすらも偽って踏み台に出来るっていうのがすごくすごく格好いいなって。恋愛に心をコントロールされている女の子も好きだが、桐姫みたいに恋愛を投げだせる女もまた好きなのだ……。恋愛が強さになるか弱さになるか、それはケースバイケースだからね。
ガクと桐姫の結婚やなんやかんやがあって迎えた最終局面。今までの人たちが終結してどうこうっていうのは想像できていた展開なのだけど、やっぱり気持ちが昂っちゃいますよねえ!これこそ王道。
株式市場の話はそれなりに分かる程度の知識を持っているのだけど、『ホワイトナイト』って単語はいつ見たって格好いいなと思う。「ホワイトナイトに名乗りを上げ敵対的買収を阻止」って文言になぜかそそられてしまう私です。そこに感情があるから……人と人との助け合いとか仁義があるから……。
閑話休題。
世間を巻き込んだ札束ビンタ、株価操作の事を考えるとまー褒められたものではないんだけども、そんなきれいごとではトリリオンなんて目指せませんからね。でも私がこの世界の住人だったらハルのアンチだった自信がある。良かったフィクションで。
最後の最後、黒龍家会合での桐姫の「>どうみてもそうじゃない」の前後4Pマジで良かったッスよね……。良かった……格好いい…………一話の切り時…………ページめくりの妙……良。話も上手ければ漫画も上手い……ほんとうに……良…………。
ここからハッピーエンドになると思ったらハルがまたいなくなってさあ!でもさあ!また仕事しててさあ!そこまではいいんよ、いい引きだなーくらいだったの。
──時計が……時計がね……。何年も何年もかかってハルの時計を取り戻したと。1巻で起こった大事な事を、最後の最後に回収してくるのズルくないですか。読者が忘れていたことをキャラがしっかり覚えていて、ちゃんと届けに来るのズルくないですか。「伏線っていうのはこう使うんだよ」と言われた気分です。
全11巻、ずっとずっとずーーーっと楽しくて最高のエンタメ漫画でした。大好き!
トリリオンゲーム 11巻
(コミック:池上遼一 / 原作:稲垣理一郎)
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