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212
望月の烏(再読)
再読をいちばん楽しみにしていた巻です。二部の中で格別にお気に入りの話だったがゆえに内容をちゃんと覚えており、再読における驚きがなく感想は小粒になってしまったのですが!【烏に単は似合わない】の再演で抜群に面白かったもん~~忘れないよこの話は~~。
まあ初読は大事な要素を取りこぼして読んでるアホなんですけども。そんなこんなで再びの感想です。ちなみに雪哉派であることは揺らいでいません。
初読の私、あせびに心が奪われ過ぎている。いやでもさあ!怖いやんけこの女!!出てきたら警戒するってもんだよ!!再読にあたっては彼女のことをあまり気に留めないで良いのでノイズが少なかったです。
主に興味深く見ていたのは蛍の君。視点主ではないがゆえに描写されている内容が少ないんですが、それでも彼女の淡々とした仕草がこの世界への温度を表しているようで良いなあと思いました。
しかし振り返ってみると、視点主である桂の花が置物ポジション過ぎてちょっと可哀そうなんですよね……。何も知らなかったわけでしょう、アレやコレや。だからこそ視点主に選ばれているというのはあるんだけどもさー。五里霧中であった彼女の視点にいたからこそ登殿の儀で何が起こるのかとワクワク出来たんだけど、なんかこう、〝都合のいいお人形〟感が増幅されてしまったというか…………。
あーーーーそう、これアレだ、〝舞台装置〟!これですね。桂の花の状況とか心とか全く重要視されてなくて、物語の面白さと内容を分かりやすくするために置かれたポジションのままだったからだ!後の巻でアフターフォローとか何もないしな……。……なかったよね?これは再読しなければ湧かない感情だったなあ。小説というものを紡ぐ上で致し方ないことだし、四家の姫が〝舞台装置〟なんておあつらえにも程がありますが。桂の花にももう少し何か欲しかったな、と思いました。
紫苑の宮のことを〝澄生〟と捉えていた+【楽園の烏】がこの作品のあとの時系列だと理解していなかった+【亡霊の烏】の出来事を知らなかった事により彼女の行動に負の感情を抱いていなかったんですが、改めて見るとこの子のやってる事ってまあまあパンチが効いてますね……?国家転覆させようとしているクーデターですやんな……。や、今作だと「まずは中(貴族)から意識を変える!!」っていう枢木スザクムーブなんですけども。だがしかしそれが届かない事を知って、強硬策に変えたのが【楽園の烏】。短編・烏百花の【きんかんをにる】で奈月彦が感じていた「政治は自分よりも得意」であるという予想。あれはこの展開のための匂わせだったのか、と……。立ち回りという広義の『政治』ね。人心掌握を心得ている。
【望月の烏】感想より
初読の感想で自分はこう言っているんだけど、割とまあ的を得た表現なのではないかなー……。政治自体は上手くないのよ、あたりまえ体操。でも人の心を掴むことに長けているがゆえに、彼女の言葉に耳を傾けた人が動いて、その結果で惨事が起こる。
やーーーーーーなんか【亡霊の烏】を見てからこの一連の話を見ると紫苑の宮の肩を持つのはちょっと出来ないなあと感じる。紫苑の宮陣営を支持という意味でなら、まあ。私はすっかりと長束さまのことが好きなので。再読でめっちゃくちゃ株を上げたぞ。なんならシリーズの中でいちばん好きな人になってる疑惑もあるぞ。反転ってすごいですね。
凪彦のことは前回書いたことから変化がないので割愛。良い子です。「あなたが生まれて初めて、ようやくまともに言葉が通じましたな!」
ここの部分、コミカライズで表情見たくない?見たい。見た過ぎる。単純に私のヘキなんですけども。すっっっっっっごい満面の笑みをしてからスッって表情消すんでしょ?たまんないっすわ。なんだったら私は脳内でコマ割りをしてしまっている……場面の緩急が最高すぎて……。
ああーーー次の再読怖いなーーー……。最後が衝撃的過ぎたが故に道中をあまり覚えていないんですよね……。誰が悪いんだろうなこれは…………みんな悪くなくてみんな悪いのかな……もうよく分かんないな……。次の巻に対するワクワクよりも心の重さが勝る~。
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望月の烏 /八咫烏シリーズ
(阿部智里)
#阿部智里 #八咫烏シリーズ

