【ゲーム】ファミレスを享受せよ【感想】

いつかやろう枠に長らく入れていたんですが、好きな実況者が遊び始めたのでコリャいかんと手をつけました。自分の感想を得てから実況を見た方が楽しいからね!とはいえスナック感覚でつまんだので深い感想は言えないところもあるのですが、評判通り楽しくプレイする事が出来ました。たった1時間半程度のプレイ時間でこんなにも綺麗に話がまとまるものなんだなあ!良質な短編SFってカンジ。

『ビジュアルノベル』というジャンルがそれなりに好きなんですが、その一方でネガティブに思っている事もあります。『ゲーム』という形にする必要があったのか、と。絵と音楽が文章を盛り立てている事は分かっています。しかし、あまりにも一方通行でプレイヤーが遊ぶ幅が存在しないと「それ、アニメ・漫画・小説でもよくない?」と思ってしまうところがあり。豪華な紙芝居であって『ゲーム』ではないよね、と思ってしまうんです。……ゲームに対する妙なこだわりが露呈しててキツイ暴露ですねコレ……。でも本心だから……嘘はつきたくないから……。そしてその豪華な紙芝居で嗚咽を漏らす程に泣くのも私よ。ハッハッハ。

とまぁそんなところもあり、物語性を売りにした軽めのゲームに少しだけ警戒感を持っています。ストーリーが良いだけなら他の媒体で摂取すればいいので。なので今作にも若干ビクビクしながら挑んだんですが、なるほどこれは『ゲーム』として表現しているがこその味ですね………!!

 

 

登場人物に話を聞く ⇒ 新たなキーワードが解放される ⇒ そのキーワードを使って様々な人物に話を聞く・何かをする、といった流れを繰り返すゲームです。最初の内は新しい情報が集まるのが楽しく、サクサク進める事が出来ます。が、次第に話題も尽きてゆき、中盤に感じるほのかな『倦怠感』。それを感じさせる前に新展開に引っ張っていくのがゲームデザインとしては正解なんでしょうが、このゲームでは『倦怠感』すらもゲームの魅力を語る一部分になり得ると思いました。

だってココは永遠のファミレス。

果てがない時間を不老不死で過ごすんだから、その環境に慣れたらそれはもう退屈でしょう!さながら自分が『ムーンパレス』に居るという疑似体験をした気分になり、中盤のささやかなマンネリ感を「最高のゲーム体験」だと感じる事が出来ました。……これはちょっと過大評価し過ぎかしら。でも「なるほどなあ!」って思っちゃったんだよね。作者の人そこまで考えてないかもしれないけど、私は勝手にそう汲み取ったよ。

そして「時間が無限にある」事を利用した例のアレに痺れました。あそこの演出とBGMが本当に好きで好きで!!今回もサントラをね……買ってしまいましたよ……。そして現在、【過去を照らす光】をループさせながらこれを書いているんですが、ドリンク片手にみんなの席をぐるぐる回遊していた感覚が蘇り、なんだかチルい気分です。この体験を自分の中に落とし込めたがゆえに、BGMを聞くだけであの場に帰った感覚になるんだろうなぁ。あの流れをやる事に意味があったというか。

『ゲーム』という形式で触れたからこそ、「いい話だった」と感じる事が出来る作品でした。


次ページは明確なネタバレをしている感想です。