カテゴリ「小説」に属する投稿[24件]
No.
201
烏の緑羽(再読)
どちらの肩を持つか決めたはずなのに心が揺らぐ!!!!!!
風が……風が止まない……決めたはずの方位がぐらぐらと揺れる……。そんな衝撃の再読でございます。1回目の感想はこっちです。
以前の感想で路近のことを「サイコパスってやつなのでは?」って言ってたんですけど、なんか、こう、違う、な?いや、現代で言うところの何かしらの名称を与えられる性質を持っているのはそうなんだけど。もっとずっとシンプルで、「愛を知らない悲しきモンスター」なのか彼は。いやそれにしたってそれが長束さまに仕える動機には全然ならんのだが。
……あーーーーーー、かつての自分が殻を破った瞬間を今度は他人で見たかったのか……?で、その時に何を選択するのかが見たかったのか……?いまいちこの辺り腑に落ちてないんですよね。
そもそもとして過去の私、“路近が長束さまに仕えた理由が分かった”って書いてるけど今の私は全然分からんが!?何を見ていたんだ過去の私は。いやいやいや、ちゃんと理由は文章内に記されてるんだけどね、なるほど力が低くなってるんだよな……なんでだろうな……。 求められていることと自身の信じる美しいものとの間に、恐ろしいほどの乖離がある。今はそれに気づいていないが、彼は決して阿呆ではないから、必ず気付く時が来るだろう。
そう思ったからこそ、路近は長束に仕えることに決めたのだと、まるで歌うように言う。
「その時、あなたが何を選択し、この山内をどうするのかが、ずっと楽しみでならなかったのです!」
ああ、引用を書き写していて“分からない”理由が分かったかも。あの過去を語ったうえでここに繋がるのが納得できないんだ。端的に言っちゃえば人の不幸や混乱を肴にして酒を飲むタイプの動きをしている事に違和感を覚えているというか。んあー、違うかーーーかつての自分が失敗した、力の行使を他人がどうするのか見たかった、……こう!?ああーそうかもーー!!あーーー感想書いててよかったーーー納得出来たーーー!!なるほどなーーー!!超絶……超絶スッキリした……。そうか、そうだよな。だからこそ『力を持つものの振る舞い』を演じることが出来るようになったんだもんな。点と点がつながりました、良かったです。
【烏の緑羽】を読んでいた当時、読みたかったのはこの話じゃないのよっていうのは本当にあって。割と後ろ向きに読んでいた事を記録としても残してあるのだけど、今回はただただ純粋に「長束さまの心を知りたい」の気持ちで物語に向き合えたので良かったです。ほぼ全てが見えた状態での再読って味わいが違いすぎて楽しい。
翠寛の話も当時より興味深かったと共に、紫苑の宮が彼からの影響をそれなりに受けていそうなことを端々から察せられ、次作の再読に胸を躍らせています。初読にこれ以上ないばかりのあんぽんたんっぷりを披露したからな【望月の烏】は……!リベンジマッチ(?)じゃい!
話はガラッと変わるんですが、長束さまのこの発言すごく良いですね。「馬鹿を言え。地道な道こそ、一番苦しくて、一番まっとうで、だからこそ一番楽しいのではないか。それが理解出来ぬとは、お主もまだまだ子供だったのだな」
すごいな、こんなこと言える人に私はなりたい。
ずーっとずーっと長束さまのこと下に見てたんだけど(ぶっちゃけた)(世間知らずのボンボンの印象が抜けなかった)、そんな彼からこんなにも力強い発言が出てきて。だからこそ、自分の予想を遥かに超える成長と飛躍に胸がいっぱいになりました。初読の私、マジで長束さまのことを見てなかったんだなって反省……。見てるよ、今はいっぱい見てるよ!
だからこそ誰の肩を持ったらいいのか悩んでるんだよまた~~~~~!!!!!
うおーーーー!!!雪哉の肩を持つって言ったのにぃ!
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烏の緑羽 /八咫烏シリーズ
(阿部智里)
#阿部智里 #八咫烏シリーズ
No.
199
都市伝説解体センター 断篇集
公式スピンオフ小説買ったのどれくらいぶり!?……いや本当にいつぶりだろうか……多くは手を出していないから、所持してるもの全部羅列出来るレベルだと思う。
・サモンナイト
・ガンパレードマーチ
・マリーのアトリエ・エリーのアトリエ
・聖剣伝説LEGEND OF MANA
──つまり20年以上振りってことだな!!すご。そう思うと私はそれなりの熱量で【都市伝説解体センター】が好きなのかもしれない。あんまり実感はないけども~。だって今回のお目当ては『山田ガスマスクのソロキャン』だから……それしか見てないから……。シチュエーションがちょっとおもしろすぎる。
そんなこんなで山田ガスマスク目当てに読み始めたスピンオフ小説の感想です。当然ながらゲーム本編のネタバレの嵐なのでご注意下さい。……アッ!インターネットの皆様みたいに『例の鍵』つけよかな~!?…………憧れだけで不便性を強いるのはやめようね、はい。
▶点を繋ぐもの
ジャスミンパイセン、あざみーに脳を焼かれ過ぎでは????
この話に関しての感想はこれしか出てこない、マジでこれしか出てこない。道中で散々「あざみかわいい」「あざみ守らなきゃ」って心境を語った末に「>これが毒だったら、あたしはじきに死ぬ。だけどこいつを抱え死にしてでもあざみは守る」ってモノローグ出されたら誰だって「ジャスあざじゃん!」ってなると思うんですよ!逆に公式がそれ狙ってなかったら命に代えても守るの文言は余計すぎる。
いやさ、全てが終わったあとのジャスミンパイセンなら多少の納得はするムーブなんだけど、この小説の時系列が『ベッドの下の男』が終わったばかりだというから余計にこう……すごい勢いで陥落してんな、と。
この方の文体好きです。ジャスミンパイセンの一人称視点だとセンター長周りの描写が人づての伝言と自己から出る想像が中心になるのがとても良い。ただジャスあざの味が強かったなー!公式監修でこの火力出していいのかー、びっくり!
▶疾駆する亡霊
句読点のリズムが私には合わなくて最初は読むの大変だったんだけど、『都市伝説を解体する』という話の流れと真相ではこの作品がいちばん好きだったまであるかも。伏線の貼り方が分かりやすいものとささやかなもので別れており、「やっぱり」と「なるほど」のバランスが良くて読み終わった時の満足感がありました。トシカイゲーム本編の感じで『首なしライダー』をどう解体するのか純粋に興味があったし。私はこの作品を感情優先のゴリ押しでミステリーだとは思っていないがゆえにふんわりと楽しめています。
それにしてもあざみーの箱入りピュアピュアっぷりはかわいいですね……。夕焼けのくだりすごい好きだよ。
▶忌の社、祟り石
ソロキャンじゃないじゃん~~~~!!!!
いいけどさあ!きのこいないと何も起こってなかっただろうからいいけどさあ!
お目当ての山田ガスマスクソロ(じゃなかった)キャン話、文体が三人称一元視点っていう一番好みのやつだったのでそれも含めてテンションが上がりました。好きなキャラと好きな味わいでも文体で全然読めないことあるので……。
このお話を知っているか知らないかで山田ガスマスクときのこの味わいすごく変わりますね……!?いや、きのこはきのこなんだけどさ、ちょっとかわいげがあるよねこのきのこ。ボケのリズムがゲーム本編より切れ味がいいぞ。
山田ガスマスクの方はと言うと、『すみっこくらしWebライター山田がいかにして5Sに入ったのか』が書かれていて興味深かったです。だってさあ、顔面を覆うガスマスク嵌めてる人が承認欲求の塊グループに所属していることが酷く不釣り合いで不思議だったから……。まあ単純にインターネットと現実を紐づけされたくないだけだったんだろうけども。ともあれウェイ系ではなく教室の隅でスマホ弄ってるタイプだったって知れたのは良かったです。やっぱそうよな、配信者タイプではないよな……。
それにしてもきのこ、罪深いヤツ……!こいつの所為で人と何かをすることの楽しみを見出してしまったが故に……それ故に!ところで歯茎を見せて笑う山田ガスマスクかわいいね。
風景描写も丁寧で、山の中でキャンプしたいなー焚火いいなーって気分になりました。ホラー描写はきのこの所為で全然怖くなかったです。赤いページの演出、読みづらくて好きじゃないけど視覚的にそれだけで山になるから面白いなって思います。
▶心霊フラメンコ
びっくりするほどユートピア!
まさか令和になってこのネタを見るとはな……。トシカイコンテンツってエンタメ方向に極振りしてるなと改めて思いました。主にオタクの方向を見て作品を作っているのが小賢しい。だがそれが功を成しているという事実よ。
このお話でいちばん関心したのは視点主であるガイドの名前が一切出てこないところです!いやこれ書き手としてはすごく面倒な要素だったのでは!?でもゲーム本編で名前出てきてない人物に急に名前生えてきても他人事みたいに思っちゃうし、ビックリしちゃうもんね。すごいな~視点の進め方がお上手~!
かつての住人が紐を掛けたと曰くの鴨居がギイギイ鳴くところとか素直に怖かったので、ホラー度がしっかりと高くてその点も満足です。真相自体は分かりやすくなっているけれど、描写の積み重ねとガイドのトンデモ行動で興ざめ感はとくになかったな。事故物件に住む、といえばゲーム本編できのこがやっている事でもあるんだけど、不思議と二番煎じ感もなく。
フラメンコは全てを解決する。
この一文が出現するだけでもう百点満点の話ですわ。トリップしてくとこの描写だいすき。
▶止まり木に休息を
タイトルいいよね~~~~!GR後の世界を書いてくれるのか……!と感動したものの、さほど大きな情報はなくちょっと拍子抜けだったのが正直なところです。でもあざみーにめちゃくちゃ疵をつけられたジャスミンパイセンの様子が見られて満足ですよ……。そして彼女自身も幼子に大きな痕を残す、と。いい構造じゃないですか。
なによりジャスミンパイセンが『解体』するの滅茶苦茶熱いと思います。幻の存在である『福来あざみ』の事を信じ、継いでいる。ジャスミンの頭の中であざみの言葉がリフレインする流れはまさに王道、断篇集のシメを飾るのにふさわしいお話でした。
「山田ガスマスクのソロキャン目当て」の言は100%の真実でそれ以外とくに期待していなかったのだけど、キャラクター小説として純粋に楽しめたことに少しびっくりしています。なによりいろんな作家さんの“味”を楽しめたことに満足!こういうアンソロジー形式の小説、もっと手を出してみようかな?新しいものへの興味を刺激するいい体験でした。
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都市伝説解体センター 断篇集
(墓場文庫)
#都市伝説解体センター #JUMPjBOOKS
No.
197
楽園の烏(再読)
こんにちは。東家の風見鶏、ささら餅です。
もういい加減に打ちたいですよね、終止符をさ……。雪哉と紫苑の宮、どっちに肩入れするのかの答えを出すぞ!!
いやさ~、出さなくてもいいんだけどさ~、ふわふわとした状態で天上から物事を見るよりも、誰かの目線で読んだ方が感情移入出来て楽しいから。1回目の感想はこっちです。
本当に何も覚えていなくて笑っている。4年前に読んだ本の内容ってこんなにもすっぱ抜けるんだな……。
・はじめくんがボンクラじゃなかったこと
・頼人はふわふわとした貴族のボンボンと見せかけて雪哉タイプ
・雪斎が必要悪いっぱいしてること
これだけは覚えていました。イコール、トビくんの事は本当に覚えてなくてですね……。「こんなピュアピュアだったっけ!?」ってなっちゃったよ。ですよね、フリですよね、ビックリした。
それと猿出現の描写や状況も真に迫っていて、もしかして残党って本当にいたのかと誤認してしまうほどでした。神視点ではそうでない事を知っているはずのことなのに、視点主である頼人の目だけから見ると猿の仕業であるとしか思えないもの。なにより猿撃退の合図として弥栄の芸をやるのがすげえよ……。アレじゃん、サイレンが鳴ったらパトカーか救急車っていう脊髄反射の反応を植え付けてるのと一緒。雪斎の『教育』、こわいですね。
初めてこの話を読んだ私は既知の登場人物が全然出てこない事に混乱を覚えていたわけですが、ほぼ全てを知った状態で今作を読むとまた味わいが違って面白かったです。長束さまのあの感じとかね、好き。オムツ取れてるもんね。
時系列って【烏の緑羽】⇒【追憶の烏】⇒【楽園の烏】⇒【望月の烏】⇒【亡霊の烏】であってますか!?正直あんまり自信ないのだけど!すぐ忘れるから私!澄生が紫苑の宮っていうのをすっぽり忘れるほどに素直だから私!……そう、視点主の見てるものと気持ちを素直に……飲み込んじゃって……。あせびのことを可愛いな~って思いながら【烏に単は似合わない】読んでたから……。
あと手のひらくるくるするのも得意なのでまた過去の自分の発言に疑念を呈するんですが、マクロな視点を持って事にあたっているのは雪斎。
これは真の金烏である奈月彦の意思を継いでいるものだと思う。山内の滅びを回避するのが雪斎の目的。
【亡霊の烏】感想より
別に奈月彦の意志は継いでないような気がして来た。いや、継いでるんだよ〝金烏の意志〟は。そこに奈月彦の気持ちはあったのか?っていうのを私はずっとずっと言ってきていて。だって【追憶の烏】で浜木綿さんが「お前(雪哉)は奈月彦を見ていなかった」って評してて。〝金烏〟へと忠誠を誓う雪哉を見て、奈月彦が寂しがっていた過去もある。ともあれば、雪斎の行いは雪斎の望みであって奈月彦はいないんじゃないかな……と今は思っています。家族が大事だから山内が大事、芯があって良い。
一方で民草の事を考えていると思っていた紫苑の宮ですが。いやこれ、復讐心がメインになってませんかね……。自身の生まれ故郷、美しい桃源郷を守りたいって心の底から思ってる?父の気持ちをないがしろにして自分達を追いやった人たちへの復讐心が原動力で、ただそれっぽい事言ってるだけだったり、しない?今作を読み返しててなんかそう思っちゃったな……。【望月の烏】読み返したらまた手首が高速回転する気もするんだが~!読み落としてる気がするなー!わからーん!……分かった気になるよりはいいかー!!
とまぁそんな感じで私のファイナルアンサーですが。
雪哉の肩を持とうと思います。
「感情でものを言います」の私が、感情を原動力として動いていると思われる紫苑の宮の肩入れをしないだと!?って自分がびっくりしているよ。復讐結構、青い理想結構。でもそれよりも私は、自分の心に素直に、だがしかし感情を分別して必要悪をなす雪哉をカッコいいと思えたので。
ただなあ~~~~~~梓さんを喪った事でなあ~~~~~次の時間軸の雪哉がどうなってるか分かんないんだよな~~~~!!!こわいよー!大事な核を失ってしまっては、雪哉は雪哉を保てないと思うから、本格的に『ただの黄烏』になってしまうのだろうか……。ううー。最終巻出る日程まだ決まってないから再読をしながらのんびり待つぞ……。
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楽園の烏 /八咫烏シリーズ
(阿部智里)
#阿部智里 #八咫烏シリーズ
No.
195
一次元の挿し技
第23回『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリ受賞作品。このミス、とくに気にしている賞ではないんだけども、表紙とアオリに惹かれてしまって。二百年前の人骨のDNAが四年前に失踪した妹のものと一致!?
これはインパクト強いでしょう!
立ち読み確認した時の読み始めの掴みもバッチシ。これで「広げた風呂敷をきちんと畳み」というお墨付きがあるんだから安心して飛び込めます。書評家の皆さんの言葉って力強いな……。
そして物語を見守った結果なんですが、無言のスタンディングオベーションをする温度感ではなくとも、ちゃんと綺麗に終わって面白かったです。途中の不穏な感じからこのカタチに落ちるとは思ってなかったなー!
初動、いかんせん人の死に「ウッ」ってなるので、バタバタと死んでいく様子に辛くなりながらページをめくっていました。人死が起きてテンション上がるのはデスゲームの時だけだよ。
それと失踪した妹こと紫陽の描写に初めは惹かれていなくて。一言で表現すると現実感のない魔性の女なんですよね彼女。都合のいい偶像のような女性。……まあ、これは、……うん!読み終わった立場からは「お見事!」としか言いようがないのだけども!
納得の理由に加え、途中の描写で人間味が出てくるので最終的には好きでした。なんてったって広義の愛だし。私の大好物だし。
遺伝子の話はあんまり深く考るとドツボにハマるので苦しくなっちゃうんですが、たったの4文字の配列が人間の運命を決めるっていう表現にハッとしました。1文字でも違ったら自分にはなってなくて、なんか途方もないすごい話だなって。
だから牛尾の気質の話を聞いて紙一重だって思ったらすごく悲しくなった。そう成りたくて生まれたわけじゃないのに。
牛尾から発せられる『ちゃぽん』って描写が最初はホラー的な要素で恐ろしかったんだけど、いざ中身が分かるとただただ普通に現実感のある恐怖で頭が支配されるからすごいね!?やべーよ!持ち歩くなよそれを!!こわ!!
ところどころで都合の良さ全開な場面があってそこに引っ掛かりを覚えました。でもこの長さの短編でサクサク陰謀論やろうと思ったらこれくらい強引なストーリー回しは必要だよなとは思う。
……そう分かってはいるんだけど、中でもとくに主人公の顔の良さで問題を通過していくとこは正直、ちょっと……!悠くんの顔の良さ自体はいいんだけど、それによって女の性欲を直で見せられるのがシンドイ〜!メインフレーバーがそれなら掘り下げて味わい深くしてくれたらいいんだけど、都合のいい理由付けだからさあ!そこが嫌だったかなって。
それに最後の最後の部分は読者全員が「それは無理やろ」ってなるとは思う。人間の身体の機能の話です。
時系列がやたらめったら飛ぶのに読みやすかったのが不思議でした。なんだろ、悠くんの時だけ一人称視点で、他の人の場合は三人称一元視点になるからカメラ深度の問題で流しやすかったんだろうか。帯に「文章力が圧倒的」「文章も上手い」って評があるけどこれは本当にそう。ただ、ミステリー読みにはその読み口の軽さがラノベ的に映るって意見も見たから人を選ぶ感じになりそうだなとも。私は読みやすかったです。
割とあーだこーだと文句を言いましたが、積極的に時間を作って3日で読み終えたので面白かった事は間違い無いです。つまらなかったら間が開くから!なにより結びが好きなんだよなあ……。
自分と隣人を愛す話だよ、これは。
一次元の挿し技
(松下 龍之介)
#松下龍之介 #このミス
No.
194
追憶の烏(再読)
すごい。八咫烏シリーズにおける私、忘れっぽさ並びに自分にとって都合のいい事しか脳に残さないのを盛大に発揮してる。すごい、いっそ関心する。本の感想を書き残すようにしていて良かった……おもしろいぞ過去の自分の感想。
そんな感じで少々辟易しつつ再読の感想です。いちばん最初の感想はこっち 。
お前さん、【追憶の烏】で澄生が紫苑の宮だって認識してたのに【望月の烏】ですっぱり忘れてるのなんなの~!?
ワロタ……ワロタ……間に違う話が挟まって2年経つと忘れる……トリ頭……。
いやもうピュアで可愛いですね自分。お恥ずかしい。そもそもとしてあせびの再登場に全部持ってかれているのがありありと分かる。
それと雪哉と奈月彦の話しかしていないのがちょっと意外だった。今回の再読でいちばん私の心を揺さぶったのって滝本さんパートだったので。──藤波にとって、美しく、優しい、唯一の『男』が奈月彦なのだ。
それに思い至った瞬間、滝本は、全身から血の気が引く思いがした。
(中略)
遠ざかる藤波を見つめていた大紫の御前は、その後ろ姿がすっかり見えなくなった頃、小さな声で呟いた。
「あの子を頼む」
出来るだけ優しくしてやっておくれ、と。
ここで滝本さんの気持ちと完全シンクロしちゃいました。お前も八咫烏だったのか、と。
これ、読んでいた当時は【烏百花 白百合の章】の小話を知らなかったので大紫の御前の心境なんてとんと分からなかったのですが。弟の融に懸想している事は設定上のこととして知っていたけど、実感が伴わないままだったから特に何も思わなかった。でも、彼女の心の深いところに触れたあとでは読み心地が少し違ってきて。仲間を見つけて本当に嬉しかったんだろうなあ。
そして裏切られたと知った時の絶望たるや。
すごく悲しいひとだ。ただ純粋に、恋する女の子でありたかったよなあ。
私ねー、滝本さんが藤波に向けている感情がほんとうに好きで!憎らしくてしょうがない部分も全部ひっくるめて、己の子のように愛していたんだよね。だが、降りしきる雨の中、身分に見合わぬ粗末な衣を着たまま倒れているその姿が、あまりに可哀そうで、愛しくて、どうしてもそのままにはしておけなかった。
ここからの流れ全部大好き。動作と感情にありったけの愛がこもってる。私は愛の話が好きです。
言及している人物といえば、浜木綿さんに対して何もしゃべっていないな?友達には語ってたんだけど。
実は前シリーズではそこまで注目していなかったんですよね彼女に。嫌いというわけではなくて、真緒の薄が女性陣の中で飛びぬけて好きだったので目端にしか映していなかった。
そんな浜木綿さんのことなんですが、【追憶の烏】を読んでハチャメチャに好きになりました。「あの醜態を見て!?」って思われるかもしれないんだけど、あそこに奈月彦への深い愛情を見いだしちゃったんですよね私は……。
愚かだよ、愚かではあるんだけどさ、剥き出しの感情にホンモノを見たというかな……。かつては何もかも諦めて澄ました顔でいた浜木綿さんが、夫の死であんなにも崩れるんだ、っていう事に八咫烏みを感じてしまった。
なので私は紫苑の宮が好きっていうよりは、浜木綿さんのとった愚かな行動を否定したくがないがゆえに彼女の肩を持っているところがあります。
いやしかし【きんかんをにる】で言及されていたことだけど、紫苑の宮は政治の才覚が幼少期からあるなホント!?東家の花祭りでのムーブが凄まじい、民衆の好感度を上げに上げていっておる……。9歳でこれとは末恐ろしい……実際おそろしくなった。
あと毎回言ってるけど「>全て皇后の思う通りに」の一言がマジで分からん。ずーっと分からん。初見では「腑に落ちた」って言ってるけど今の自分には分かりません。……いやどうかな……分かってるのかな自分……。雪哉と同じように、彼が私情を選択したと思いたくないだけかもしれない。奈月彦~~~バカ~~~~!!!
はー……雪哉と紫苑の宮、どちらの肩を持つか決めるために始めた再読なんだけども、答えが……答えが……出ない……。雪哉目線の話を読んだがゆえに雪哉に寄っているのはある。当たり前体操。これアレだなあ、第三者目線の【楽園の烏】に帰らないと駄目か?正直なところ前半パートが眠いんだよな……。頑張って帰るか……楽園に……。
保留!どっちの味方をするか保留!!私の気質はまだ東家!!
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追憶の烏 /八咫烏シリーズ
(阿部智里)
#阿部智里 #八咫烏シリーズ
No.
193
夏季限定トロピカルパフェ事件
再読祭り第二弾です。
なあ、小鳩くん謎を解くことをやめる気が全くないな?性格がすごい捻くれてて笑う。シャルロットを食べたいのは本心の一部なんだけど、小佐内さんへの挑戦が大元の理由だったとは……忘れてたぜ……。
こう、なんかもっと可愛い内容だと思ってたんだ、『シャルロットは僕だけのもの』。そもそもとしてタイトルが良いよね。サブタイを十何年も覚えている程度には気に入っている。
このお話はそこはかとなく性の香りがするというか、それを彷彿とさせるキーワードが散りばめられているのがドキドキを加速させていて好きです。
──夏、衝動、欲望、滴る汗、火照った身体で冷えた麦茶を飲み干す。
青春、しちゃってる感あるじゃないですか。性欲のメタファーとして食事表現が使われることもあるし、男女ふたりが密室でスイーツをつつき合うってなかなか高度なシチュエーションだと思うなあ。や、すぐカップリングしたいお見合いおばさんの性質を出しているわけじゃなくて、雰囲気作りとしての舞台設定の話ね。色気を醸し出しつつも謎解きに主題を持っていくのがすごい。当時読んだ時はこういった演出に気付かず読んでいたと思うのだけど、無意識のうちに感じ取っていたからこそ深く印象に残っているタイトルだったんだな、と。「困ったな。⋯⋯欲しいよ」
小鳩くんのこの一言、ずるい。「(もうひとつケーキが)欲しいよ」なんだけどさ!これは性を誤認させるための演出が多々あるって言っていいと思うの!
なんかシャルロットだけでそれなりに書いちゃったからあとはラクに喋ろう。
小佐内さんが夏休みの間に仕込んだもろもろの出来事、あまりにも用意周到ですごいなと感心しきりです。男を掌で転がす才能がありすぎる。そう、私が見ていた小佐内ゆきはこういう子だった……。
それにしたってやってもいない誘拐事件の捏造は……チョット……引く……。いやこれは小鳩くんが苦い顔をするのも分かる!だって私ですら引いた!自己防衛と言えど過剰防衛では!?まあ仕方ないんだけどさあ。昔の私、この段階で小佐内さんのこと嫌いにならなかったのすごいな。大人の私は結構ビックリしちゃったぞ。
小鳩くんは健吾にだけ弱みをいっぱい見せていくのが良いですね。正直に言います、このふたりの関係性めちゃ萌えです。いざという時に頼れるだけで、普段はまったくもってつるんでないのがいい。つかず離れず。
やっぱりさあ、夏は解放の季節だって思うな。だって小鳩くんも小佐内さんも皮を被るのをまるっきりやめていたんだもの。表題の大勝利。
そして秋は実りの季節、お次は栗きんとんです。小鳩くんと小佐内さんに恋人が出来たくらいしか覚えていないから楽しく読めることでしょう。いや~再読祭り楽しいな~!
夏季限定トロピカルパフェ事件
(米澤穂信)
#小市民シリーズ#米澤穂信
No.
191
皇后の碧
八咫烏シリーズを手掛ける阿部智里先生による新作読み切りファンタジーです。ハードカバーの本は買い控えないとなぁと思っていたんですが、ついね……惹かれてしまってね……。いや、惹かれたというよりはアレだなあ。
「また後宮モノなの!?!?」っていう興味。
だって八咫烏シリーズの始まりが後宮モノじゃん。またその手で来るのかっていうことに驚きがあって。それと「引き出し少なくない?」というネガティブな感情を持っていたところも多いにある。
でも同じものを煮詰めただけで新刊が出せるほどに世界は甘くないことは分かっている。だからこその面白さを確信して手を出しました。結果はご覧の通りです。
後宮モノって不思議ですね。きわめて局地的な鳥籠の中の話なのに、本人にとっては「後宮の敷地と価値観が己の全て」だから規模のスケールがグッと上がる。世界にとっては取るに足らない出来事でも、後宮の中では大事になる、なってしまう。良い題材だなと今作を読んで思いました。
あと読み手目線で言うと覚える事が少なくて済むのが良いですね。国と国でのああだこうだがメイン軸になると世界と用語を覚えるだけで手いっぱいなので。覚えたらめっぽう楽しくなるのは分かっているが!
今作で一番助かったのはアレです。登場人物の名前が簡素!覚えやすい!助かる!!横文字、ムズカシイ!
蜻蛉の精霊シリウス!炎の精霊フレイア!水の精霊ティア!
なんと分かりやすいことか……。
一方、主人公の名前がモロに日本人名だったのは違和感が少し強かったです。ナオミ。有名人を連想してしまって、挿絵にあった黒髪の少女が頭に残らなかったのが悲しい。ハナとかマイとかだったら別だったのかなー。名づけって難しいもんだ。
元素的なものから精霊と称する命が生まれるファンタジーな世界は寓話的で、文字だけで起こすとメルヘンな優しい色を想像してしまうのですが。初っ端からまあ、こう、ねちねちでしたね!種族の特質に合わせた価値観の違いや抗争に「まあそれはそう」と納得しながら読んでいました。火の一族と水の一族が仲良しこよしなわけないんだよなあ!生まれが違えば価値観も違うわけで、そこのあたりのモヤモヤはなかったです。どっちが正しいとか考えなくていい、どっちも正しい。
そんな世界観なのに、ナオミが足を踏み入れた後宮では全てが調和している。
その謎を探るのがとてもワクワクしました。ほら、前述で「生まれが違えば価値観も違う」って言っちゃうような頭カチカチ山なので私……。
主人公のナオミが頑張り屋さんなのも好感度が高かったです。第一の好感度上げ上げポイントはココ。女官に戻りたいと伝えても、蜻蛉帝はきっと怒りはしない。その代わりに、先ほどのようにナオミに接してくれることは二度とないだろうし、興味を失ったような顔で自分を見返すであろうことを想像すると、そんなふうにがっかりされたくない、と思ってしまった。
好意の種、良い。
結果としてこの種は別の方向に花開く事になるんだけども、〝相手にがっかりされたくない〟という想いから関心が始まるのってなんか可愛らしくて胸がときめきました。いやーここの文章と感情すごい好きだなー。
登場人物みんながそれぞれに矜持や野心を持って行動していることにも心を惹かれました。お人形さんがいない。……おるけど、おるんだけども。
一番気持ちが盛り上がった場面は最終局面でナオミがフレイアを呼ぶところです。契約とは信頼関係である、という言葉も良かった。いいよねあそこ~……伏線回収するのは分かりきってたけど、すごくドラマティックだった。
だがしかし盛り上がりが連続する最終局面に至るまでの尺が若干長い……!阿部先生の小説ってスロースタートな気がするでホンマ。前も話したけど私は【烏に単は似合わない】自体は刺さってなくて、友人に乞われて【烏は主を選ばない】まで読んでやっと「おもしろい!」ってなったから。
あと最後の『皇后』呼びも精読しないと頭にクエッションマークが大量に浮かんだままですね。ふんわりとした理解のままにエピローグを読み若干の座りの悪さを感じていたんですが、他の方のレビューを見てようやく得心しました。もうちょっと、もうちょっと繰り返し言って欲しいぜ、「皇后」というモノに対する登場人物たちの価値観を……!
ページをめくる手がとまらない、という作品ではないものの、ちゃんと心に残る世界でした。なんならシリーズ化してくれてもいいのよ、と思っている。いや、風呂敷全部畳んだんだけどさあ!この世界観を1回ポッキリなのちょっともったいない気がする~。炎の精霊と水の精霊にフォーカス充てたりしようよ~!おもしろかったです!
追記:っていうかうわー!公式サイトのロード画面めちゃくちゃいい!読み終えてから噛みしめられるやつ!
皇后の碧
(阿部智里)
#阿部智里
No.
190
春期限定いちごタルト事件
再読祭り第一弾です。
巻末の版数を見るに、私が初めてこの作品に触れたのは2006年の事だそうです。
…………おおよそ20年前?すごいね……?当時は個人ブログや読書メーターとかで面白そうな作品を見繕っていました。他にも、少女小説やライトノベルを毎日1冊読んでいる友達がいたので、いっぱい参考にして素敵な作品にいくつも出会わせて貰ったりとか。今はちょっと灯台が多すぎてどの光を追えばいいのか分かんなくなっちゃってるとこある。ああ、昔は良かったトークをしてしまったぜ、いかんいかん。
話を感想に戻して。……と言ったものの再読だし概ね覚えているし感情の話はとくにないかも!感想を重くしすぎて再読祭りの腰が重くなってもアレなのでアッサリといきます。
おそらく以前も言及したんだけど、【おいしいココアの作り方】ってやっぱすごいね!?ココアの作り方で謎を一個作って短編にしちゃうんだもの!ぶっちゃけどうでもよくない!?シンクを全く汚さない状態でホットココアを作ることに関して思考を巡らせるとか、ある!?そこがねー、感心しきりですね……。あと答え自体もシンプルでとても良い。
しかしながら春の時点では小鳩くんも小佐内さんも成りをひそめる気がなくて笑っておる。秋冬はちゃんと小市民の星を目指していたんだな……。
それと直近で読んだ冬に比べてスイーツ描写が多くて嬉しかったです。小佐内さんがあの小さな身体と唇でちまちまとスイーツをつついて食べてる画、頭の中で想像するとかわいくて。小鳩くん目線だから描写がくどすぎず、さりとて簡素すぎず、過不足なく甘味の魅力を伝えているのがとても良い。
昔から常々健吾は良いヤツだなと思っていたんですが、やっぱりハチャメチャにいい男ですね。一本の筋が通っている。そんな彼に対してごまかしが聞かず、自身の心境を吐露する小鳩くんパートも〝今だから〟こその感慨があってグッと来ました。もう知ってるから……彼がノックアウトを食らった事件を……。
再読祭り楽しいです。
夏季限定は私が大好きな「シャルロット」。続けて読んでいきます。
春期限定いちごタルト事件
(米澤穂信)
#小市民シリーズ#米澤穂信
No.
186
プロジェクト・ヘイル・メアリー(下)
いかん!感情を隠すことが出来ん!何も言いません!鍵は前回と同じく「黒い点々の名前」です!
プロジェクト・ヘイル・メアリー(下)
(著:アンディ・ウィアー)(訳:小野田 和子)
#アンディ・ウィアー #早川書房
No.
185
プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)
ようやく……ようやく読めた……!誰も彼もネタバレをしないままに「とにかく読め」と言っていたのでずっと気になっていました。あと宇宙ネタの映画の中で【オデッセイ】がいちばん好きなので、同作者さんの新作も肌に合うだろうという確信もあり。
オデッセイはね、すごいよ。私の中で異例だよ。洋画、ひいては映画を全然見ないし映画館に足を運ぶのはネタバレを食らいたくないアニメ映画の時だけの私がわざわざ映画館で鑑賞した作品だからね……。ジャガイモを育ててるとこ見たくて……。リアル【アストロノーカ】見たくて……。
そんな訳の分からん動機からスタートした気持ちがここまで届きました。【プロジェクト・ヘイル・メアリー】めちゃんこ面白い。読めて良かった、嬉しい。世で声を大にして叫んでいる先輩方々ありがとう、ありがとう。あなた方の周波数は私まで届きました。
上巻の感想をさらっと書きます。結末を知らないままに感情を書き残しておきたい……が、早く下巻も読みたいので巻きで!
今回は鍵をかけます。合言葉は「黒い点々の名前」です。
プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)
(著:アンディ・ウィアー)(訳:小野田 和子)
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