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本なら売るほど 2巻
1、2巻を同時購入したのでまとめて感想を書いて省エネしようともくろんでいたのだけど、期待値を軽々と越えてきたからしょうがないよね。2巻も面白かったです。
7話【鷹の目を持つ男】で登場した中野さん、最初は評論家めいたカタブツさんかと思っていました。でも実は全然そうじゃなくて、他人から見た彼の描写で人柄を出すのが押し付けがましくなくていいな、と。自分語りの自己開示ではない。奥さんの様子からしてもうほんわかほっこりだもん。ビジュのつぶらな瞳も可愛げでいい……。
中野さんも店長も本に想いを馳せてる時むちゃくちゃいい表情するからズルいな~!イタズラ小僧が宝物を掘り起こして悦に浸っているような、恋をしているような、純な顔。そういう対象があるって素敵なことよね。〝意味もなく〟楽しいとき 人は幸せだ
分かる。「楽しいから笑ってるんじゃない、笑ってるから楽しいんだ」に通じるものがあるよなあと思う。でも笑ってる意味、多分あるんだよ、分かってるんだ。それを置き去りにして幸福に感じることってあるっていうか……。そんな事を考えてしまうほどに、本の話をしている時のふたりの表情が良かったです。
創作活動に苦しんでる人は10話、11話【丘の上ホテル】を読もう!!!!
そう声を大にして言いたくなるお話でした。初の前後編だから気合入ってて面白いんだろうな~という予感はしていたんですが、また、こう、ハードルをヒョイッと超えられてしまった……。「……私にとってのバナナジュースは 江戸川乱歩なんです」
この発言の掴み力よ。だらだらとした雑談の中で急にアンバランスな言葉が出て来ると一気に興味を惹かれますね。前後のセリフまみれのコマが求心力を増す。
児島青先生は時間管理と感情の動かし方が本当にお上手だと前回も言ったんですが、今回も素晴らしくて眉間にシワが寄ってしまいました。特にピカイチだと思ったところはP114の絶望から空虚に至るまでの流れです。
漫画が描きたいのに、描けない。耐えて、逃げて、失望して。
足元、雑踏、空、自分。
4コマ目の日の丸構図で時間が止まるのもすごいな~カンペキすぎる~!すごく好きなページです。
蜘蛛の糸を垂らしている人が〝萌えの対象〟っていうのもまた魅力だ。欲望っていうのは強い。でもそれだけじゃ糸を掴めなくて、掴むために必要なのは「難事を前に焦る気持ちを戒める言葉」。クロスワードの7文字。頭から尻尾まで中野さん夫婦の使い方がうまぁい……!奥さんかわいいね。お客さん同士がこうして繋がるとは思っていなかったので、その点も面白いお話でした。
コミックス最終話を飾るは質屋さんに入れられた本の旅路。
またこういう話さいごに持ってくる~~~~~(落涙)
やめて欲しい。途中から展開分かりきってたけど分かってても泣くからやめて欲しい。人が死ぬだけで悲しいのに、そこに成しえなかった未来への物語を乗せられると本当に弱い。照れ照れしてる前川さんよかった…………。そこからの「>また迎えにくるから 待っててな」のところでもうヴァーーーーよ。ヴァーーーーなの。この感情に言葉はないよ。
『束見本』へのうんちくは本の装丁萌えである彼にしか出せないものだと思うので、お客さんの使い方がお上手だなあと。彼以外からあの話が出てきたらちょっと説明セリフっぽいというか。紙の質、閉じ方、小口の揃え方、そんなものまで愛しているジョージさんが言うセリフだからこそ同じ想いをそこに乗せてしまう。
白い頁にはどんな物語も託すことができる。だからこそ、夢を見られる。
白紙って書き手側からしたら絶望でしかないんですけど(特に締め切り前)、希望でもあるんだよな。── まあ私が乗せてるのは希望じゃなくて欲望だが!ワハハ!よい、それでよい。
コミックスから話を少し移しまして。書店特典のペーパーが素朴で好きです。別に大した事は書いてないんですけど、登場人物の人となりが短文から掘り下げられるのが可愛らしいので今後も欲しいなあと思っています。それつまり特典付きのお店で早めに買わなきゃってことです!次回も書店で買うぞ~!
本なら売るほど 2巻
(児島 青)
#本なら売るほど #ハルタ

